「儲けやがって」という嫉妬

 日本の経営者は、自分たちの給料が抑えられているので「儲けやがって」というような嫉妬があったりします。

 私が昔、ベンチャーを起業して銀行系のVC(ベンチャーキャピタル)を訪れたときのことです。

 事業計画を持っていったのですが、そこには私の給料も載っていました。未払いのまま、ずっと無収入でやっていましたが、いちおう計上はしていたのです。その額、年収1000万円。それを見て、VCの部長さんが「俺の給料より高えな」と言ったのです。私は内心「そんなことで出資するかどうかが決まったりしないよな……」と心配になりましたが、そんなこともあって、日本は大丈夫かなと思ったのです。

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写真はイメージ ©getty

 ちなみに日本のベンチャーキャピタル市場は、いまだに1兆円台でしかありません。桁がひとつ足りない。この現状は、いろんなものが連鎖した結果です。

 日本では、経営者の給与水準が固定されてしまっている。おじいさん経営者たちは、自分より儲ける人に対する嫉妬から、積極的に出資しようとはしない。これが、若者の自由な成長を妨げています。

 そして、若者たちは「何とか10億くらい稼いでヒルズに住みたい」と思うと、このおじいさんたちに迎合しないといけない。こうした停滞のループを生んでいる構造をブレイクしない限り、うまくいかないと思うのです。