「おじいさん経営者たちは、自分より儲ける人に対する嫉妬から、積極的に出資しようとはしない。これが、若者の自由な成長を妨げています」。日本の若手経営者はなぜスケールが小さくなりがちなのか? 問題の背景を、元Twitterジャパン社長の笹本裕氏の新刊『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』(文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む

 なぜ日本の若手経営者のスケールは小さくなりがちなのか? 写真はイメージ ©getty

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フェラーリに乗って満足していてはいけない

 日本は人口が約1億2000万人。世界経済は第4位です。

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 そうなると、ちょっとビジネスがうまくいけば、ある程度のお金は入ります。そこがある意味、日本のいいところであり、悪いところでもあると思うのです。

 最近、まわりの経営者と「いまは、ちょっと儲かるとフェラーリ買って、ヒルズみたいなところに住んじゃうよね。それじゃ、これからはダメだよね」という話をしています。

 目指すべきは、そんなレベルではありません。

 中国の富裕層は、1億人くらいいます。ほとんど日本国民全員が富裕層になっているのが中国だと考えると、こんな程度のことで満足していては世界に打ち克っていけないのです。

 インドネシアに行くと、20代30代の若者たちの目がキラキラしています。スタートアップで働く人だけではありません。たとえば銀行の中のペイメントの仕組みを作った若者が、スピンオフして「これからインドネシアで日本のSuicaみたいなものを作って上場するんだ!」と意気込んでいたりする。彼らを見ていると、すごく眩しく感じます。

 翻って、日本ではあまりそういう光景は見られません。

 インフラ系は、レガシーな重工業企業が牛耳っている。そういう大きな会社が社内ベンチャーを作ったとしても、あくまでも社内ベンチャー。それをスピンオフさせて、上場させて、その子たちに何かすごい成功体験をさせてあげよう、とは絶対になりません。