「なんで日本人はこんなに安く働かされているんですかね?」――元Twitterジャパンの笹本氏が、外資系ヘッドハンターに尋ねると驚きの回答が…。笹本裕氏の新刊『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』(文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む

なぜ日本人の給料は低いのか? 写真はイメージ ©getty

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なぜ、日本人の給料はこんなにも低いのか?

 そもそも、なぜ日本人の給料は低いのでしょうか?

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 Twitterを辞めようかどうしようか考えているとき、外資系のヘッドハンターと話をしました。そこで驚いたのが、どこか別の企業に行くとなると、以前日本で働いていた頃より給料が低くなってしまうということでした。

 私はヘッドハンターに「これってちょっとおかしくないですか? 私の能力を買ってくれるなら、私の能力に値札を付けてほしいんです」と言いました。

 実際、外国人経営者に何十億円と払いながら、日本人経営者にはその何十分の一しか払わない日本企業もあります。

 私は「なんで日本人はこんなに安く働かされているんですかね?」と聞きました。すると、そのヘッドハンターはこう言いました。「日本人は外資がオファーを出したときに、100万くらい年収が上がるとわかるだけで喜んでサインしてしまう。だから給与水準が低いんだよ」

 先日も、ある日本の上場企業の経営者と話しているときに、その話になりました。そのときは「日本の給料が低いのは、報酬委員会が問題だよね」という話になりました。上場企業には役員報酬の開示義務があります。1億円以上の報酬を渡すと、そのことを社外に開示しなくてはいけない。このため、多くの日本企業の報酬委員会は「9999万円にしておきましょう」となりがちなのです。

 今後の日本は、外貨を稼がないといけません。それなのに、外国人に高い報酬を与えて日本人は安く働く、この構造を変えていかないと、日本はマズイことになると思うのです。

 日本人はこれから、世界の中で戦い、生き抜いていかないといけません。それなのに、あまりにものんびりしているなと思わざるをえません。

 幸いなことに、日本は経済的にもまだまだ豊かで、自然も豊かです。こういう国は珍しい。こういう国で暮らしていると、「釜ゆでになっている可能性がある」ことに気づかない。これは怖いことです。

 世界を見ると、ぜんぜん違うものが見えてきます。

元Twitterジャパン社長の笹本氏 ©文藝春秋

 たとえばオーストラリアの学生は、大学を卒業すると1年間休むといいます。就職はせずに、世界を旅行するのです。すると、視点が変わって帰ってきます。

 でも日本では、学生生活は就活に追われ忙しく、卒業したら4月から就職するのが普通です。それだとどうしても視野は狭くなる。もしかしたら、そういう慣習から破壊しないといけないのかもしれません。