ジブリパーク内「魔女の谷」にある「メリーゴーランド」の一部も、今展会場内に再現された。『もののけ姫』に出てくるヤックルと山犬が並んでおり、またがって乗り心地を試せるようになっている。
アニメ映画で観た世界が立体となって眼前に立ち現れると、キャラクター造形のユニークさや的確さをはっきり感じ取れる。「なんとも愛らしい」「不気味そのもの」など各キャラの個性が、言葉ではなくカタチでみごとに表されている。
空間を彩る色の多様さと鮮やかさにも驚く。スタジオジブリ作品のオリジナリティは、独特の色合いによっても支えられていると、改めて気づかされる。
施設をつくる過程で用いられたスケッチ等も展示
宮崎吾朗はジブリパークに先んじて、東京・三鷹にあるジブリ美術館の創設にも携わった。両施設をつくる過程で用いられたスケッチ、設計図、オブジェの試作品なども、今展示会場には多く並ぶ。
ジブリパークには『耳をすませば』に出てくる古美術店「地球屋」を再現した建物がある。室内を飾るオブジェやからくり時計も丁寧に制作されており、それらがつくられたであろう時代背景に至るまで細かく想定・考察したことが、図面や修整指示の書き込みから読み取れる。
パークの一角に建つ『となりのトトロ』「サツキとメイの家」の巨大模型や平面図も同様だ。アニメ映画のストーリーに合わせて、建物自体は昭和10年代の建築様式を、調度品は昭和30年代の生活様式を踏まえてある。
アニメ映画を観ながらだれもが痛いほど感じていたであろう、スタジオジブリの妥協なきものづくりの精神が、ジブリパークやジブリ美術館をつくる際にも大いに発揮されたことが見てとれる。
宮崎吾朗監督映画『ゲド戦記』『コクリコ坂から』『アーヤと魔女』に関連したイメージボードや資料なども展示してある。アニメ映画のつくり方の一端が知れるのは、作品ファンにとってうれしいところだ。
不思議な世界観はやはり唯一無二
会場をひと巡りすると、スタジオジブリ作品全体に通ずる特長が、浮かび上がって見えてくる。目の前にある一つひとつのものごとはずいぶんバラバラで、かつ何の変哲もないものばかり。でも、続々と現れるそうした事物や出来事との出逢いを積み重ねていくと、いつしか楽しげな世界に没入し抜け出せなくなっているのである。
雑多なものが寄り集まって共存している、ジブリの不思議な世界観はやはり唯一無二だ。改めて強くそう感じさせる展示だ。ジブリパークやジブリ美術館へのあこがれと、実際に足を運びたいという気持ちも、むくむくと湧き起こってきてしまう。
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ジブリパークとジブリ展
6月28日~9月23日
寺田倉庫 B&C HALL/E HALL
今後、青森・岡山へ巡回
https://ghiblipark-exhibition.jp/