NHK総合で毎週土曜日に放送中のアニメ『烏は主を選ばない』。7月20日(土)に放送された第14話より、新章「黄金(きん)の烏」編がスタートした。宮廷を舞台にしたきらびやかな世界から一転して、冒頭の襲撃シーンに「やだ、怖い」「予想外すぎる」と視聴者から大きな反響を呼んだ。そしてついに8月17日(土)に、第15話が放送される。

「黄金の烏」編の本格的なスタートを記念して、主人公の少年・雪哉(ゆきや)役の田村睦心さんにお話を伺った。

田村睦心さん

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きらびやかな世界から一転、血と暴力の新章へ

「黄金の烏」編は、冒頭から衝撃でしたね。村の人々が大きな猿に食べられるなんて、急にホラー映画が始まったみたいでした。カリポリカリポリ……ジュワ、といった音も臨場感たっぷりです。なんといっても、猿がただ食べるだけではなくて、ニタァ……と笑っているのが怖い! 愉しんで殺している雰囲気がありますよね。これまでの敵とレベルが違い過ぎて、「雪哉、こんな相手と対峙しなきゃいけないの……? 無理すぎない?」と絶望したのを覚えています。

© 阿部智里/文藝春秋/NHK・NEP・ぴえろ

 お后選びに権力闘争、猿の襲撃と、このアニメは途中で雰囲気がガラリと変わります。でも、雪哉と、彼の主である若宮との関係性は一貫して描かれていますし、今後も二人の主従関係は続きます。これからは、雪哉が若宮に助けてもらうシーンが増えるかもしれません。……あ、でもときどき雪哉を放り出すことも……あるかな?(笑) 総じて、若宮の「八咫烏の長」としての力や優しさを感じました。

 若宮と雪哉の関係性は変わらないので、「黄金の烏」編に突入しても、雪哉の演じ方は変えていません。でも、これまで培ってきた絆があるので、より仲良くなったといいますか、若宮への親しみは増しています。ポイントは、雪哉は権威に惹かれているわけではなくて、あくまで若宮の人となりに惹かれている、という部分でしょうか。

© 阿部智里/文藝春秋/NHK・NEP・ぴえろ

収録中、とあるアクシデントが!

「黄金の烏」編の収録は本当にあっという間でした!

 雪哉は基本、若宮や、彼の護衛・澄尾と行動を共にしているので、収録は入野自由さん(若宮役)と竹内栄治さん(澄尾役)とご一緒することが多かったです。

 これはアニメ本編と全く関係のない話なのですが、収録中に入野さんが被っていた日除けの帽子がとても良かったんですよね。帽子のツバがしっかりしていて、風に飛ばされないための紐もあって……。早速、私と竹内さんで同じ帽子を買って、次の収録では3人でお揃いになりました。

 あとは、収録中にスタジオの空調が壊れてしまい、クーラーが効きすぎてしまったことがあって。そのときは女性が私だけだったので、「もしかして私だけ寒いのかな」と思っていたんです。でも、入野さんも、白熊寛嗣さん(路近役)も「寒くない?」と仰っていたのが可笑しかったです。

© 阿部智里/文藝春秋/NHK・NEP・ぴえろ

 キャストさんの中には、あえてその後の展開や、原作の情報を入れずに収録に臨む方もいらっしゃいました。なので、今後の展開について想像したり、「あのシーンはこういう意味だったんじゃない?」と考察したりして、話が弾みましたね。私は原作も拝読させていただいたのですが、巻ごとに雰囲気が違って、引き込まれます。色々考察して、人と話して共有したくなる作品ですよね。

原作小説シリーズ(文春文庫)