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YouTuber出身のタレント特有の危うさは、そこに限らない。特にフワちゃんは、出自を活かしたギャップ(萌え)で売ってきたからである。

本当は「いい子」というイメージ戦略

フワちゃんといえば、「消しゴムマジックで消してやるのさ」というCM(現在は非公開)でのセリフに象徴される「タメぐち」が代名詞である。大物タレントだろうが、学者だろうが、弁護士だろうが、誰かれ構わず、遠慮なく話しかける。言い方だけではない。内容も、件のCMのように、ぞんざいというか、端的に無礼である。

奇抜なファッションも「らしさ」を形づくってきた。スポブラ(スポーツ用ブラジャー)でヘソを出し、下半身はホットパンツ姿で、全身の多くを露出する。髪の毛は、お団子にまとめた上で、パステルカラーのヘアゴムやネックレスで固める。おしゃれなのか、ダサいのか。少なくとも、人前に出る格好として品行方正とは言いがたい。

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突拍子もない行動が耳目を集めてきたし、テレビ収録への遅刻も、たびたびネット記事になるなど、非常識な振る舞いを続けてきた。

他方で、フワちゃんは支持されてもきた。タレントのベッキーは、「あの人にマジメを求めてどうするの?」とコメントしたと報じられている。それどころか、「実は敬語が使える」とか、「根はいい子なんです」とも擁護されてきた。フワちゃんが、テレビにとどまらず、世界的企業GoogleのCMでも求められてきた理由がここにある。

YouTuber出身の、常識知らずで、無鉄砲なキャラでありながら、その実は、ちゃんとしている。そのギャップ(萌え)にこそ、視聴者や広告代理店、そして大企業が魅力を感じてきたのではないか。この点は、炎上騒動が、なかなか鎮火されない原因にも通じる。

「裏切られた」という被害者意識

フワちゃんの裏の顔が見えただけなら、話は単純だっただろう。清純派で売ってきていたのに不倫をしていた、とか、真面目キャラだったのに腹黒かった、といった程度なら、これほどまでのバッシングは受けなかったに違いない。