簡単に言ってしまえば、畳数表示どおりに買ってしまうと、現在の住宅にはオーバースペック。それを知らないでいると、初期費用を必要以上に出すことになり、冷暖房の効率が下がり、ランニングコストも高くつきかねません。私がYouTubeチャンネルなどで「今まで消費者はボラれてきた?」と指摘してきたのは、そういうからくりが分かっていたからです。
家電量販店で購入するときは、部屋の広さを言ってはいけない
それでメーカーや家電量販店がもうかってきた面はあります。ただ、量販店の売り場に立つ店員さんに悪意があるわけではなく、販売マニュアルとして畳数表示どおりのモデルを紹介するようになっているのです。また、購入した後で「クーラーが効かない」というクレームが来るのも避けたいでしょう。
ですから、購入時のコツは「20畳の部屋につけます」と言うのではなく、あらかじめメーカーのカタログをチェックするなど、下調べをして購入するモデルを決めておき、「このモデルをください」と指定することです。
カタログのスペックを見るときは、畳数を目安としつつ、冷房と暖房の「定格値」ではなく「最大値」に注目しましょう。これが自動車なら1200cc、1500ccというような数値で測られるエンジンのスペック。上位機種と中・下位機種の価格差は、この最大能力の違いです。
11段階のモデルがあっても、暖房のスペックは3段階
冷房最大値と暖房最大値を見てください(図表2)。実は最大暖房能力別で見ると、色分けしたように3つのランクしかないのです。14畳用から29畳用は、広さとしては2倍あるのに、暖房の最大能力はほぼ同じ11.5~11.8kwです(図表3)。
つまり、6畳用と8畳用、10畳用と12畳用、14畳用から29畳用までの暖房能力はほぼ変わらない。それなのに、販売時には畳数に比例して価格差がつけられています。私が10年前から「エアコンは6畳用、10畳用、14畳用以外は買ってはいけない」と発信してきたのは、こういうワケです。