エアコンを選ぶとき「8畳用」「12畳用」などの目安が広いモデルほど高額になるが、表示どおりに買わなければならないのか。断熱性の高いエコハウスを設計している一級建築士の松尾和也さんは「暖房能力では6畳用と8畳用、10畳用と12畳用も変わりがない。気密性の高いマンションなら下のランクで十分だが、マンションの最上階だけは冷房能力が少しでも高い畳数どおりのエアコンを購入したほうがいい」という――。

写真提供=共同通信社 省エネ型エアコンが並ぶ「ヨドバシカメラマルチメディア梅田」のエアコン売り場=2022年12月、大阪市北区 - 写真提供=共同通信社

エアコンの畳数目安はいったん疑ってみるべき

8月に入り、いよいよエアコンが24時間稼働する時期になりました。故障や買い替えなどで、新しいエアコンの購入を考えている人も多いのではないでしょうか。

そこで家電量販店に行ってみると、たいていの場合、設置する部屋の広さに合致するモデルを勧められます。「おもに8畳、12畳、18畳用」など。日本の家電メーカーのエアコンは、安い下位モデルで5種類ほど、ハイスペックな上位モデルでは11種類ほどのラインナップが用意されています。そして、エアコン売り場でいったん「20畳の部屋につけます」と言ってしまえば、20畳用しか売ってもらえないことが多い。

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しかし、実際は、20畳の部屋でも14畳用のエアコンで十分という場合が多いのです。ましてや8畳の部屋なら、ほとんどの場合は6畳用で足ります。それなのに、エアコンの現在の小売価格を見ると、中位モデルの8畳用と6畳用では4万6000円ほどの価格差があるのです(図表1)。

6畳用と8畳用では5万円近い価格差、今までボラれてきた⁉

ただでさえ光熱費を節約したい折、初期費用を抑えられるなら、抑えておきたいですよね。さらに、購入のタイミングや畳数によっては、購入金額が2分の1ぐらいで済む場合もあります。

そもそも、「○畳用」という目安は、今から60年前、1964年にJIS規格で制定されたもの。その際に「この広さで冷暖房が効く」という基準になったのが、無断熱の木造平屋建てでした。あまりにも古い基準で、気密性の高いマンションに住む人が多くなり、木造の一戸建てでも、私たちが設計するエコハウスのように断熱性が高いものが増えている現在には、マッチしなくなっているのです。