なぜ“5”番線ではだめなのか
が、ここで気になるのは、“0”という数字。普通、駅の乗り場の数字は1から順に増えていくもの。綾瀬駅には1~4番線まであるから、5番線にすればいいじゃない……と思ってしまう。が、実際には乗り場の数字にはちゃんとルールがあって、駅長室に最も近い乗り場が1番線で、遠ざかるに連れて数字が増えていくことになっている。北綾瀬ゆきのホームは1番線の片隅。そこに後から5番線を作ったら、使う人が混乱すること間違いなしである。そんなわけで、やむなく“0”を名乗ることになったというわけだ。
実は、この0番線はそれほど珍しいわけでもなく、京都駅や盛岡駅など全国に35の“0番線”が存在している。東京都内では日暮里駅の京成線ホーム。スカイライナーの運転開始にあわせてホームが増設されて0番線が登場した。こちらはもともと1~2を京成、3以降をJRが連番で使っていたので、京成の事情でJRの乗り場番号を変更するわけにもいかず、0番線を名乗ったという事情があるようだ。
というわけで、綾瀬駅の0番線から本線を離れて3両編成のワンマン列車がトコトコと走るわずか2.1kmの北綾瀬支線、いかがだろうか。開業以降、北綾瀬駅周辺の宅地化は一気に進み、利用者数は当初から3.5倍ほどに増えた。実は、その結果本線への直通運転が実現することになったのだ!
綾瀬駅0番線は消えてしまうかも!?
現在、北綾瀬駅では3両編成しか停まれなかったところを本線対応の10両編成まで停まれるように大工事の真っ最中。今までは綾瀬駅で乗り換えなければならなかったけれど、工事が完了すれば乗り換え無しで北綾瀬に行けるようになるのだ。そうなれば、北綾瀬の利便性がますます向上することは間違いないところ。東京メトロによれば、工事完了は今年度中を予定しているのだとか。
“大都会の片隅の小さな枝線の小さな駅”。そんな地味な存在の北綾瀬駅も、来年にはいっぱしの駅に“昇格”するというわけだ。となると、気になるのは綾瀬駅の0番線。0番線には10両編成の車両は停まれないから、直通運転列車は当然0番線を使わない。いきなり3両編成の折返し運転が消滅するとも思えないけれど、もしかするとそう遠くないうちに綾瀬駅0番線は消えてしまうかも。行っておくなら今のうち!?
写真=鼠入昌史