東京メトロ千代田線。代々木上原~綾瀬間を結び、両端ではそれぞれ小田急線・常磐線と相互直通運転を行う東京都心の大動脈路線のひとつだ。
が、そんな千代田線の東の端っこに、ローカル線の趣たっぷりの小さな枝線がある。綾瀬~北綾瀬間(通称北綾瀬支線)だ。走っている列車は短い3両編成で、車掌さんも乗っていないワンマン運転。1時間に4本ばかり、綾瀬~北綾瀬間の折り返し運転を繰り返す……。日常的に千代田線を使っていてもなかなか乗る機会はないし、存在すらあまり知らないという人もいるのではないだろうか。一体末端の北綾瀬、何があるのか……。
そこで、今回は“大都会の地下鉄にあるローカル線”北綾瀬支線のナゾを紐解いてみたい。ナゾを解くキーになるのは主に2点。ひとつは「基地の街」、もうひとつは「0番線」である。
もとは一般利用向けではなかった北綾瀬支線
「ほら、駅から環七渡って真っ直ぐ行くと、車両基地があるでしょ。あれができてから街が賑やかになったんですよ」。
と、駅の近くのコンビニ前で話しかけたおじいさんの言葉。そのとおり、北綾瀬駅からさらに北に伸びた線路の先には、千代田線の車両が留置される綾瀬車両基地がある。そして、この車両基地が北綾瀬支線の誕生と街の発展をもたらしたのである。
千代田線が開通したのは1969年12月20日。北千住~大手町間だった。それとほぼ同時に、千代田線用の車庫として綾瀬車両基地も誕生。ただ、この頃にはまだ北綾瀬支線は存在しなかった。正確に言えば、線路としては存在していたが、あくまでも車両基地に向かうための引き込み線。環七との交差地点にも北綾瀬駅はなく、一般人が利用することはできなかったのだ。