4月27日、韓国と北朝鮮の両首脳による南北首脳会談が行われた。北朝鮮による核兵器や弾道ミサイルの開発など、緊張状態にある中で行われた会談は、両国の融和を感じさせるものであり、世界中から高い評価を集めたが、同時に韓国の文在寅大統領と金正恩朝鮮労働党委員長によるアドリブまじりの親密なやりとりも注目された。一連の言葉を振り返ってみる。

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金正恩 北朝鮮・朝鮮労働党委員長
「胸のときめきが止まらない。大統領が境界線まで出迎えに来てくれて、本当に感動的だ」

読売新聞 4月27日

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 両国の軍事境界線である板門店で行われた南北首脳会談は、両国首脳のアドリブから始まった。

 文在寅大統領と境界線越しに握手を交わした金正恩朝鮮労働党委員長は「胸のときめきが止まらない」と語りかけ、文氏が「私はいつ頃(境界線を)越えられるだろうか」と応じたところ、金氏はおもむろに境界線をまたぐと「それなら、今、越えてみましょうか」と提案、両首脳は手をつないで境界線を越えて北朝鮮側に入った。予定外の出来事であり、2人の「手つなぎツーショット」写真は全世界で大きな注目を集めた。

手をつないで軍事境界線をこえる金正恩朝鮮労働党委員長と文在寅大統領 ©朝鮮通信=時事

金正恩 北朝鮮・朝鮮労働党委員長
「平壌から苦労しながら平壌冷麺を持ってきました」

朝日新聞デジタル 4月27日

 板門店の韓国側施設「平和の家」で行われた南北首脳会談の冒頭での発言より。金氏は平壌名物の冷麺を話題に上げ、「遠いところから(持ってきた)……遠いと言ったらだめか」と冗談を飛ばして場を和ませた。

 南北首脳は会談後、共同宣言文「朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言」に合意、署名を行った。「板門店宣言」では「朝鮮戦争終戦に向けた多国間の体制づくり」と「完全な非核化」が明記されている。ただし、具体的な非核化への道筋などは明記されていなかった。

板門店の軍事境界線で、金正恩委員長と文在寅大統領 ©EPA=時事

金正恩 北朝鮮・朝鮮労働党委員長
「(米国が)われわれと対話してみれば、私が南側(韓国)や太平洋上に向けて核(ミサイル)を発射したり、米国を狙ったりするような人間ではないことが分かるだろう」

時事ドットコムニュース 4月29日

 金氏は会談の席上、北部の核実験場を5月中に閉鎖する方針を表明した。米韓の専門家やメディアを実験場に招待し、閉鎖を公開する計画という。非核化への意思や、検証による透明性確保を世界にアピールする狙いがあるとみられる。また、金氏は米国側と信頼が構築され、朝鮮戦争の終戦と不可侵を約束するなら核は不要になるという考えを示した。