水谷 そういう人もいます。30代で3人の子持ちのセラピストは、性欲が強過ぎて毎日奥さんとしても飽き足らず、副業として女風を始めました。奥さんは、「浮気されるよりは、お金を稼いできてくれたほうがいい」と言っているそうです。

――店側は、どうやって採用活動をしているのでしょうか。

水谷 ホームページで募集していることが多いですが、女性の経営者の中にはマッチングアプリでスカウト活動をしている人もいます。実際に会うと女性に気遣いができるかどうかすぐ分かるので、向いていると思ったら「お店で働いてみない?」と声をかけるそうです。

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 ただ、採用されたとしても生き残れるのは30人中1人くらい、1年続けられたら長いほうです。

――なぜ続けられる人が少ないのですか?

水谷 人気商売なので、1ヶ月間1件も予約が入らなくてショックを受けて辞める人もいます。営業活動として、SNSで「写真日記」を毎日更新しなければならないのですが、自分の魅力を言語化するのが大変なんです。それが苦手な人はツイキャスでライブ配信をして、喋っているところやカラオケしているところを見てもらい、声がかっこいいのをアピールしたりしています。

 また、新宿にある色々な店のセラピストに直接会えるバーでは、日替わりで色々な店のセラピストが接客をするので、客が直接会ってお気に入りの男性を選ぶことができます。トークの得意なセラピストは、そこで人気が出て売れるようになったと言っていました。

「女風セラピスト」と「看護師」の意外な共通点

――様々な年齢の客が来ると思うのですが、自分よりかなり年上の女性に性的なサービスをすることに抵抗を感じることはあるのでしょうか?

水谷 ほとんどの店は研修期間にそういう話をするので、「自分の母親より年上の女性はちょっと……」と感じる男性は、その時点で辞めます。セラピストは受容できる年齢の幅が広いんだと思いますね。「崩れた体型がたまらない」と、熟女好きになるセラピストは多いと聞いたことがあります。

――客が付くようになってからも、大変なことは多いのでしょうか。

水谷 客とX(エックス)のDM(ダイレクトメッセージ)でやり取りをするのですが、連絡の頻度が多い客がいるので「返信が大変」だといいます。30往復してやっと予約が1回取れるくらい。手間ばかり掛かって「俺何やってんだろう」と疲弊して辞める人もいました。デートコースの場合は、プランを考えてレストランやカフェの下調べをしないといけないので、性的なサービスのコースより労力がかかるそうです。

――性的なサービスで、大変なことはあるのでしょうか?