水谷 店によってシステムが違うのでチェンジが可能かは分からないのですが、キャンセルはできると思います。ただ、システム的に可能であっても「チェンジ」と言える女性はかなり少ないです。拒絶することで「セラピストが怒り出したらどうしよう」という恐れがあるし、男性をお金で買ったり、選んだりする感覚に慣れていない女性が多いのだと思います。

 むしろ「私が利用してもいいんですか」という意識の人が多く、セラピストに遠慮し過ぎて気持ち良くなれない女性が多いです。「彼氏と違って気を遣わなくていいから快感を得られるかと思ったけど、彼氏と変わらなかった」と言う女性もいました。「下手だなあ」と思っても、クレームを言えない人が多いです。

――上手い、下手を事前に見分けるコツはありますか?

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水谷 セラピスト歴が長い人のほうが上手な可能性は高いと思います。あと、SNSで性的なテクニックについて発信していたり、講習会に通っている報告したりと、研究熱心な人は上手なのではないかと思います。

自分を解放して楽しむ女性経営者達

――わざわざお金を払って、セラピストに気を遣ってしまうのは勿体無い気がします。

水谷 確かに気後れする人は多いのですが、その段階を通り越して「お金払ってるんだから楽しもう!」という人も本当に沢山います。医療系などのストレスの多い職業の女性は特に変わった性癖を持っていることが多いそうです。例えば、ダブルセラピといってセラピストを同時に2人呼んで、女性を真ん中にして3人でつながったり。ダブルセラピは、「そろそろ女性用風俗を利用するのを止めようかな」と思っている人が最後の記念に利用することも多いです。

 いわゆるコスプレをしたがる客も多いです。浴衣を着て花火大会を一緒に見に行ってそのままホテルでプレイしたり、女性が犬役になってセラピストが飼い主役になったり。なぜか光沢のあるビニールのレインコートを着てほしがる客が結構いるそうです。五反田にコスプレ衣装が豊富なホテルがあり、部屋自体が電車の車内や教室のようになっていて、よく利用されています。

女性用風俗で働く男性たちを描いた水谷緑さんの漫画『僕は春をひさぐ~女風セラピストの日常~』第2巻(講談社)

――楽しんでいるのは、どんなタイプの人が多いのでしょうか。

水谷 女性経営者は、豪快な遊び方をしていますね。セラピストを連れて海外旅行に行ったり、高級ホテルに泊まったり、誕生日に複数人のセラピストを呼んでパーティーを開いた人もいました。セラピストを緊縛師のところに連れて行って講習料金を払い、「性感のテクニックを習いなさい」と育て上げる楽しみ方をする人もいます。

 女性社長4人で、セラピストを1人呼んで、順番に施術してもらったという話もありました。また、ある女性社長はセラピストを自分の会社に呼んで「この子が私のお気に入り」と部下に紹介したり、「あなた達も女性用風俗使ってみるといいよ」と勧めているそうです(笑)。社会的地位の高い男性が、愛人を自慢するような感覚なのか、結局は男性も女性も同じようなところがあるのかもしれません。

――これまで取材した中で、どんなことが印象的でしたか?