「皆さん、こんにちはー! 皆さんは、超ラッキーな人たち。この人数で僕と話せる、会えるのは」

 7月25日、渋谷区内のレンタルオフィス。ベンチャー起業家など約20名の前で勢いよく話し出したのは、グッドウィル・グループ(GWG)元会長の折口雅博氏(63)だ。

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「起業家インキュベーター」として活動再開

 折口氏といえば、商社マンとして「ジュリアナ東京」を立ち上げ“バブルの寵児”と呼ばれたほか、1995年には総合人材サービスのグッドウィルを設立し、12年間で売上7700億円に成長させた人物だ。だが、2006年から08年にかけて、介護サービス子会社のコムスンの介護報酬不正請求やグッドウィルの違法派遣が相次いで発覚。08年3月にGWG会長を退任し、翌年には債権者からの申し立てで破産手続き開始決定を受けた。

現在の折口氏

 GWG会長を退任後に渡米し、日本から姿を消していた折口氏。それが近年、「起業家インキュベーター」という肩書きで日本での活動を再開しているという。この間、どのように過ごしてきたのか。本人に取材を申し込むと、取材場所として指定されたのは、仕事で使っているという六本木ヒルズ16階の高級レンタルオフィス内だった。折口氏が70分にわたり語った。

「渡米したのは、GWGの経営権を失い、日本にいても仕方がないから、小さい頃から住んでみたかったNYに行こうと決めたんです。最初に住んだのはマンハッタンのマンション。手元にお金はありませんでしたが、最初の1年はGWGの『米国顧問』ということで、大株主になったファンドから毎月250万円を送金してもらっていました」

 とはいえ、米国顧問には大した仕事もない。暇に飽かせてベルリッツの英会話教室に通い詰めた。

事業の売却益で生活

「ところが2年目から、日本からの送金が大きく減ることになった。生活がきつくなるので、元々自分が立ち上げた最高級レストラン事業『MEGU』を、GWGから親族のファンドに買い取ってもらったんです」

「コブラヘアー」と呼ばれた頃

 MEGUは加盟金25万ドル(当時のレートで約2500万円)のフランチャイズビジネスとして世界各地に出店。売上の5%がロイヤリティー収入となった。年間の売上高は約10億円という一大レストランチェーンだったが、12年に経営権を二十数億円で日系企業に売却。売却益で生活できるようになった。