番組内には『アイドルを探せ』というオーディションコーナーも設けられ、合格者はおニャン子クラブの新メンバーとしてレギュラー出演できるシステムになっていた。

 選抜基準は「ちょっと気になる可愛い同級生」。おニャン子のメンバーにとって番組出演は部活のノリで、学業優先がルールだったので「○○ちゃんは期末テストがあるので、今日はお休みです!」なんてこともしょっちゅうあった。

 そんな、既存のアイドルにはなかった身近さが若い男子たちの心をワシづかみにして、イベントにはファンが殺到。デビュー曲『セーラー服を脱がさないで』はいきなりオリコン最高5位を記録した。その後、おニャン子クラブのメンバーは河合その子を皮切りに続々とソロデビュー。順繰りにオリコン1位に輝き、チャートを席巻することになる。

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テーマは「打倒・おニャン子」

 前にも記した通り、小泉は“普通の子”をコンセプトにここまで突き進んできたが、リアルな“普通の子”が、彼氏とのHにまつわる曲を集団で歌ってヒットさせたのだから、田村Dが脅威を感じたのも当然である。「おニャン子に負けない、もっと強いインパクトのある曲を作ること。それがテーマになりました」。

 また小泉の新曲は、富士フイルムとのタイアップが先に決まっていた。ならば、より強いものが作れる人を――田村Dが依頼したのは筒美京平と、なんと秋元康だった。

 秋元はご存じの通り『セーラー服を脱がさないで』を作詞した当人である。と言うと『卒業』を聴いて松本・筒美コンビに新曲を依頼したときと同じ作戦か? と思われるかもしれないが、そうではなく、実は田村Dと秋元の間にはあるつながりがあった。『夕やけニャンニャン』にもレギュラー出演していた、とんねるず(石橋貴明・木梨憲武)である。