2013~16年に当時総務官僚だった斎藤知事が宮城県に出向していたころ、東日本大震災の復興関連で、兵庫県も職員を派遣することが多かった。するとこの4人組と斎藤知事は仲良くなり、
 
《いつも仙台でつるんでいた。兵庫県庁では知事以下五人を『牛タン倶楽部』と陰で呼んでいます。》(県職員・7月25日号)
 
 2021年に知事となった斎藤氏は「牛タン倶楽部」のメンバーを側近として重用した。
 
《県庁職員とのコミュニケーションを拒み、四人組への依存を深めていくばかり。敵対的と見なされた者は次々と排除された。最近は斎藤に意見できる職員は誰もいなくなっていた》(県OB・7月25日号) 

X氏の告発を「寄ってたかって」追い詰めた人々の正体

 いかがだろうか。こうした状況下でX氏が告発したのだ。しかし、知事が勢い任せに「嘘八百」と口にしてしまったことで、県はあの文書を「嘘八百」と結論づけるための内部調査しかできなくなったという。
 
 県はX氏のパソコンを押収し、私的な文章も見つけた。この文章は4人組によって県議や県職員に漏れたという。告発文書をめぐり、百条委員会の設置が求められると、今度は維新会派の県議たちの間にもX氏の私的な文章が流出したようで、
 
《維新の岸口実県議と増山誠県議が、百条委員会の場でX氏のPCに入っていた全てのファイルを公開するよう強く主張し始めた》(自民県議・7月25日号)

8月23日、兵庫県庁で記者団の質問に答える斎藤知事 ©時事通信

 こうして知事、4人組、強硬な2人の維新県議に「寄ってたかって」追い詰められたX氏。公益通報とは何か、そして兵庫県政の実態をあらためて問うべきではないか。
 
 斎藤氏が知事に当選した2021年の選挙では自民と維新が斎藤氏に相乗りした。出馬前は大阪府の財政課長で松井一郎・吉村洋文両知事の維新府政を3年間支えた。それゆえ「製造責任者」として維新に注目が集まるのだが維新関連ではこんな記事も出始めている。
 
『維新批判票? 初の現職市長落選 党幹部「完敗」に衝撃 大阪・箕面』(毎日新聞8月27日)
 
 2010年の結党以来、維新公認の現職首長が落選するのは初めてだった。その要因に「大阪・関西万博」と「自民派閥の政治資金パーティー裏金問題を受けた政治資金規正法の改正を巡り、日本維新が『政策活動費』の領収書の10年後公開で自民と合意したこと」、そして「斎藤知事」問題が言われている。
 
 兵庫県のパワハラ知事問題は維新問題であることがわかる。これで慌てて維新が斎藤批判に動き出したら、それもまた維新っぽい展開なのだが。