「もう絵に書いたような陰キャですね(笑)。初対面の人間とは目を合わせて喋れないし、学校内でも数人の友人としか話ができませんでした」

 高校時代は陰湿なクラスメイトにいじめられたことも…。ところが今は大変身を果たし、SNSでは華麗なコスプレ写真で注目を集める、インフルエンサーのひやニキさんインタビューをお届け。彼はなぜ変われたのか?(全2回の1回目/後編を読む)

変身前のひやニキさん(写真:本人提供)

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女子にいじめられたことも…苦痛だった高校時代

──免許証の更新で別人と間違われて更新を拒否された経験があるほど、見た目が激変したそうですね。

ひやニキ 僕は元々ASDやADHDの傾向が強く、中学校までは普通に友人と過ごせていたんですが、高校に入ってからはクラスで浮いた存在になってしまったんです。ちょうどその時、僕が決定的にオタクになったきっかけでもあるんですけれど、小説を書き始めたんです。京極夏彦先生や芥川龍之介先生が大好きで。それでだんだん高校に行かない日が増えて、引きこもりがちな生活になりました。

変身後のひやニキさん(写真:本人提供)

──当時はどんな性格だったんですか。

ひやニキ もう絵に書いたような陰キャですね(笑)。初対面の人間とは目を合わせて喋れないし、学校内でも数人の友人としか話ができませんでした。

──クラス活動も苦痛だったのでは?

ひやニキ そうですね。最近分かったんですが、僕は発達性協調運動障害という発達障害があって、運動も苦手だったんです。体育の授業は走ればビリ、投げればボールは飛ばない、みたいな。だから疎外感がすごかったです。他のクラスには友達が2~3人いたので、その人とだけ喋って、他とは目も合わせない。喋ろうとすると、変な汗をかく、みたいな感じでした。

 見た目も「THEオタク」って感じで。Xでバズったビフォーの写真も、高校3年生の時のです。髪の毛が天パで、眉毛も生やしっぱなしの、もっさりしたちびデブでした。高校はクラスの半分が女子だったんですけど、目立っている女子何人かにいじめられたりもしていました。

──いわゆる1軍的なタイプの女子ですね。

ひやニキ そうですね。陰湿な女子が考えそうないじめは、一通り経験しましたね。机を端っこにやられるとか、持ち物に落書きされるとか。どうしても用があって話さないといけない時も無視される。ひそひそ笑われるのは毎日だったので、慣れちゃいました。

──ひどいですね……。

ひやニキ クラスに居場所がないので、お昼ご飯も隣のクラスに行って友人と食べていました。修学旅行や遠足も、同じクラスの子と話した記憶はほとんどないです。それが女性にコンプレックスを覚えるきっかけのひとつでした。

──その後大学に進学したそうですね。Xには「大学デビューに失敗した」とありましたが……。

ひやニキ はい。一人暮らしをはじめたので「これを機に大学デビューを」と考えたんですが、見た目を変えようにも、痩せ方もわからない、髪のセット方法もおしゃれの仕方もわからない。

 しかも、高校までロクに人付き合いをしてこなかったので、人との距離感の取り方もわからない。大学では向こうから距離を詰めてくれる人はいたんですが、次に自分がどう向かっていったらいいかわからない。だから0か100かでぶつかって相手に嫌がられる。大学1年の時はそれを繰り返していました。

 オタクがやりそうな失敗は全部やりました。好きな子の家の前で、偶然を装って待ち伏せしたり……。ある時「なんでみんないいニオイするんだろう」と疑問に思ったんですが、香水の存在を知らなかったので、紅茶のティーバッグを一箱全部開けて風呂に突っ込んで、紅茶風呂にして入ったり……。

──なんと!