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反トランプの福音派も

入山 なるほど。一方の民主党のカマラ・ハリスですね。バイデン大統領が大統領選から降りたので、カマラ・ハリスが大統領候補になったわけですけど、彼女はインド系であり、ジャマイカの血もひいているので、結婚する前にプロテスタントになっていたけど、旦那さんはユダヤ系なんですよね。

池上 ユダヤ系ですね。アメリカは、ユダヤ人とカトリックやプロテスタントが結婚するってことは結構普通にありますからね。

入山 そして民主党の副大統領候補に選ばれたティム・ワルツという気の良さそうなおじちゃんは、私が調べたところ、プロテスタントのルター派だと。共和党はプロテスタントのトランプ、そして、民主党はプロテスタントになったんだけれども、旦那さんはユダヤ人というカマラ・ハリスという構造ですね。

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池上 そうですね。この場合はどちらもプロテスタントなので、実はそこでの対立というのはあまり起きていません。ただ、福音派をどちらが取るのか、あるいは妊娠中絶を認めるか認めないかということを争点にしているんですね。

入山 ということは、福音派が民主党のカマラ・ハリスに入れる可能性もちょっとあるんですか。

池上 それはないでしょうね。妊娠中絶に関する連邦最高裁判所の判決をひっくり返すことにしたのは、トランプの功績だというのがあるわけです。そもそも「人工妊娠中絶はアメリカの憲法に権利として認められている」という判決を、トランプが最高裁に入れた保守の裁判官が増えたことによって、「そんなものはアメリカの憲法では保障されていない。それぞれの州が勝手に決めればいいだろう」ということになったわけですね。そうして、共和党の勢力が強いところでは次々に人工妊娠中絶を禁止していったんです。

入山 まさに南部の州ですよね。ジョージアとかルイジアナとかあのへんは福音派の人が多いから、法律をバンバン通しちゃったんですよね。

池上 だから、福音派にしてみれば、「トランプが最高裁判所の裁判官に保守派を入れた結果、自分たちの主張が通ったんだ」という思いがあるわけですから、やっぱりほとんどがトランプを支持する。ただし、トランプにいろいろ女性問題があったりすると、福音派って敬虔な人たちばかりですから「本当にクリスチャンとしてどうなの?」みたいに思う人はいるんです。反トランプの福音派も少しはいるんですけど、大体はみんなトランプを支持するという形になってますね。

入山 なるほど。


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