「面白い」「すごく共感する」。経営者をはじめ、さまざまな人が絶賛している『宗教を学べば経営がわかる』。中東情勢やアメリカ大統領選について、共著者の池上彰さんと入山章栄さんが本の刊行を記念して特別対談を行った。*この対談は、文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」(9月9日放送分)を再構成したものです。
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入山 今日はこの池上さんをお迎えしまして、ここから「アメリカ大統領選と宗教」というテーマでお話ししていこうと思います。池上さんはアメリカ大統領選のときは毎回現地で取材されています。この『宗教を学べば経営がわかる』の第6章で、アメリカというのは徹底的なキリスト教のプロテスタント、特にカルヴァン派と呼ばれる人たちの思想が蔓延している国なんだということを本当に私も勉強させてもらいまして。「なんでアメリカのエリートってあんなにむちゃくちゃ頑張るんだ?」とか「なんで、あんなにやたらお金稼いで誰も文句言わないんだ?」とか。「やたら稼いでいるくせに最後はなんで寄付するんだ?」とか今までさっぱりわかっていなかったんですけど、池上さんと対談させてもらって勉強して、カルヴァン派の思想がよくわかりました。本当にアメリカって宗教まみれの国なんですね。
池上 そうなんですよね。たとえばビル・ゲイツが、別れた奥さんと一緒に財団を作って、そこに自分たちの莫大なお金を寄付したりしているんですよね。聖書の中の言葉として、「金持ちが天国に入るのは、ラクダを針の穴に通すよりも難しい」って書いてあるわけですよ。ということは、「金持ちのままだと天国に行けないんだ、だから稼いできたけど、最後の最後は金を全部持たない。寄付してしまえば天国に行けるんだ」って思いがあるということですよね。カーネギーだってそうでしょ。名だたる経営者で成功した人はみなさん寄付していますよね。