1ページ目から読む
2/2ページ目

「気遣っていて、優しい方だなと」

 そんなユースケも、呪詛のような独特の節回しには苦労していたという。

「難しいセリフが続くシーンで、何度もカットがかかったこともあった。ですがユースケさんはストイックに確認して、すぐに適応していた。周りにも『時間かけちゃってごめんね』と気遣っていて、優しい方だなと」(同前)

 背の低いDAIKIに対しても「そこだと隠れちゃうんじゃない?」と言って、スタッフと立ち位置を考える気遣いを見せたというユースケ。自身も芸能界デビューは役者ではなく、ミュージシャンとしてだった。それもあってか、ユースケは演技未経験のDAIKIに、こんな助言を送ったという。

ADVERTISEMENT

「楽しみな。いろいろ分からないこともあると思うけど、自分らしさを出していい。もっと前へ前へ出たほうがいいよ」

一発勝負の雨乞いシーン

 DAIKIが最も印象に残っているのは、8月4日放送の30話だという。道長との寿命をめぐるやりとりの後、晴明が鬼気迫る雨乞いを見せたシーンだ。

ユースケ晴明

「ついに雨が降ってきて、晴明が力尽き倒れこむところで、須麻流が涙を流すという場面。ユースケさんとの1年間を振り返りながら演じていたら、本当に自然と涙が出ました。じつはあのシーンは、衣装が雨でびしょ濡れになるので、一発勝負だったんです。無事成功したこともあり、思い出深い場面となりました」

ユースケのおかげで撮影を楽しめた

 1年余にわたって絆を深めた2人。クランクアップの際には、こんな会話を交わした。

「もうちょっと一緒に撮影したかったな」

「また会えるように、頑張ります」

 ユースケのおかげで撮影を楽しめたというDAIKI。だが、ただ一つだけ、ずっと気が抜けなかったことがあった。

「僕はもともと髭を生やしていたのですが、制作側から『須麻流のイメージ通りだから、そのままにしておいて』と言われていたんです。自分で剃って失敗したらどうしようと、1年間ずっと緊張しっぱなしでした(笑)」

 あるじと別れても前へ進み続ける。