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一人5万円以上する「高級ガチ中華」も

ほかに寧波料理、潮州料理という、本来、中国八大料理にも名を連ねていなかったマイナーな料理もメジャーになってきた。寧波は台州と同じく浙江省にあり、台州と上海の中間に位置する町。有名なのは年糕(ニエンガオ)と呼ばれる餅で、海鮮などと炒めて食べる。寧波料理で有名になったのは『甬府』(ヨンフー)という高級料理店。『新栄記』と同様、大都市に出店して寧波料理の知名度を全国区にした。

都内で中華料理店を経営する中国人によると「十数年前は四川火鍋が若者の間で人気となり、それが全国区になり、日本など海外にも上陸しました。しかし、コロナ禍により同じ鍋をつつく鍋料理が敬遠され、目新しい料理を求める動きが生まれました。台州料理、寧波料理はそんな新しいトレンドを求めているグルメの間で有名になったのです。

24年3月に東京・赤坂にオープンした『新栄記』は超高級。価格帯は一人5万円以上です。日本人富裕層と中国人富裕層をターゲットにしているのは明らかです」という。

中島 恵(なかじま・けい)
フリージャーナリスト
山梨県生まれ。主に中国、東アジアの社会事情、経済事情などを雑誌・ネット等に執筆。著書は『なぜ中国人は財布を持たないのか』(日経プレミアシリーズ)、『爆買い後、彼らはどこに向かうのか』(プレジデント社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか』(中央公論新社)、『中国人は見ている。』『日本の「中国人」社会』(ともに、日経プレミアシリーズ)など多数。新著に『中国人のお金の使い道 彼らはどれほどお金持ちになったのか』(PHP新書)、『いま中国人は中国をこう見る』『中国人が日本を買う理由』(日経プレミアシリーズ)などがある。