渡辺謙、役所広司が苦労した時代との“最大の違い”
かつて松田優作がハリウッドで旋風を起こし、ハリウッドに早くから進出した真田や渡辺謙、役所広司が苦労した時代を経て、「動画配信時代」を迎えた。以前は海外進出への道は映画に偏っていたが、今は全世界に配信できるビジネスモデルを築いた配信ドラマもある。
濱口竜介監督作『ドライブ・マイ・カー』がカンヌ映画祭で評価されたことが後押しし、主演した西島秀俊は7月10日に配信されたApple TV+の英語と日本語言語で展開するオリジナルドラマ「サニー」でヒロインの夫役に抜擢されている。この「サニー」には、ハリウッドや韓国でも実績を積み上げ、海外配信作品に次々と起用されている國村隼も登場する。
俳優の起用から資金調達の面でも国際的と言えるドラマが増えつつある欧州のドラマに進出する俳優もいる。木村拓哉は「THE SWARM」、山下智久は「神の雫/Drops of God」と「THE HEADシーズン1」、福士蒼汰は「THE HEADシーズン2」に出演している。年内に世界同時放送・配信予定の「コンコルディア」には元「Sexy Zone」の中島健人が英語の長ゼリフで登場する。いずれの作品も日本のHuluが資本参加し、ファン層の厚い日本人俳優が海外でも活躍する場を作っている。
言語の障壁は前ほど高くないという向きはあるが、「SHOGUN 将軍」をきっかけに大ブレイクし、ハリウッドのメディアにも引っ張りだこのアンナ・サワイの活躍を見ていると、そうとも言い切れない。プロモーションを含めた活動でも実力を発揮できる俳優が強いことは確か。ニュージーランド生まれ、東京育ちであるサワイのような俳優には有利に働くのは事実だが、非英語の言語も受け入れる配信全盛の時代を活かさない手はないように思う。
サワイが「皆のためにドアを開いてくれた真田広之さん」と受賞スピーチで語った言葉は、真田をはじめとする今回の日本人の功績を言い得ている。無駄にするのは勿体ない。