真田広之主演の超大作ドラマ「SHOGUN 将軍」が、いよいよ最終回を迎えようとしている。
ディズニーのテレビ部門であるディズニー・ジェネラル・エンタテインメント・コンテントの歴史で最高のデビュー成績を達成したこのミニシリーズは、ここまでの8週間、ライバル会社から話題作が次々出てきたにもかかわらず、アメリカの配信ランキングで常に上位に君臨し続けた。つまり、視聴者をずっと惹きつけてきたということだ。
批評家受けも、最初から素晴らしかった。「Variety」誌のエミー賞ノミネーション予想記事にも、作品はミニシリーズ部門で受賞、真田広之、浅野忠信、アンナ・サワイは演技部門で候補入りするだろうと書かれている。華々しく最終回を迎えた後も、7月のエミー賞ノミネーション発表、9月のエミー賞授賞式まで、このドラマには楽しいことが続きそうだ。
成功に大きな貢献をしたのが、主演とプロデューサーを兼任する真田広之。2003年の映画「ラスト サムライ」で初めてハリウッド映画に出演した彼にとって、これはまさに、ひとまわりし、より大きくなって元に戻ってきたような状況ではないか。筆者がそう聞くと、真田も、このドラマのテーマでもある「宿命」をたしかに感じると述べた。
企画を後押しした「ラスト サムライ」の存在
やはり日本を舞台にした時代物である「ラスト サムライ」も、全世界で4億5400万ドルを売り上げた大ヒット作だ。製作には、当時としては巨額の1億4000万ドルが投じられている。ただし、「SHOGUN 将軍」と大きく違うのは、トム・クルーズが主演したこと。世界のトップスターが主演するというから、ワーナー・ブラザースは、ところどころに字幕もあり、アメリカの観客にとって遠い世界を舞台にしたこのプロジェクトに即ゴーサインを出し、潤沢な予算をくれたのである。
それは、大きなプラスだったが、小さなマイナスでもあった。スタジオの思惑通り、トム・クルーズが出るから世界中の人が見に行ったわけだが、当時すでにL.A.で映画ジャーナリストとして活動していた筆者は、欧米の記者仲間から「トム・クルーズが侍って、変だよね」という声を時々聞いたものだ。筆者はそれほど違和感がなかったのだが(日本の観客も同様だったのだろう。日本でこの映画は137億円を売り上げる大ヒットとなっているのだ)、そう感じた人がいたというのもわかる。