「詳しいことは言わないで」須藤がおこなった口止め工作の中身
〈学生時代の印象も聞かれると思うけど、『アホでした』『先生に怒られてました』くらいで、詳しいことは言わないで。『親のすねかじりでした』とも言わないで。ホストと付き合っていた時期は専門学校の1年生の時くらいにとどめて〉
読み上げられた友人の1人の供述調書には次のように綴られている。
「当時、私は友人の早貴の頼みなので、なるべくその通りにしたいと思いましたが、警察に協力しないことが正しいことなのか葛藤があったので、LINEには『相手は警察だし、答えられないでは通じないよね』とメッセージを送りました。実際に話を聞きに来た警察官には嘘をつけませんでしたし、知っていることを話しました」
一方、別の専門学校時代の友人は、野崎氏が死亡する数カ月前、地元で密かに話題になっていた須藤のAV出演について確認したという。その事実は事件の直前、野崎氏が経営する会社内でも知れ渡ることになるのだが(#2)、須藤はAV出演を認め、その理由を友人にこう説明した。
「有名なアダルトビデオの男優に会いたかったから」
さらに同年の秋、この友人は、渦中の「ドン・ファン妻」として札幌に戻ってきた須藤とススキノで食事を共にした。そこで直接、須藤に「あのおじいちゃん(野崎氏)、誰?」と尋ねている。
「早貴は『友達の紹介で知り合った』と答えました。なんで結婚したのか聞くと、『月に100万円もらえるから。そんな美味しい話はない』と答えました」(読み上げられた供述調書より)
第2回公判では、事件当夜、野崎氏の自宅に駆け付けた和歌山県警田辺警察署員2人が検察側の証人として出廷。遺体の状況から薬物中毒を疑い、注射器やパケ(薬物を入れる小包)を捜したが、見つからなかったことなどを証言した。野崎氏の遺体を死因・身元調査法に基づく「新法解剖」に出す旨を説明した際、須藤はスマホでゲームに興じながら聞いていたという。
裁判員裁判は今後、異例の28人が予定されている証人尋問が中心となっていく。