2018年5月24日の夜、「紀州のドン・ファン」こと和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助氏(享年77)が急性覚醒剤中毒で死亡した事件。殺人と覚醒剤取締法違反の罪に問われた55歳年下妻の須藤早貴被告(28)の裁判員裁判が、和歌山地裁で行われている。9月13日の第2回公判では、須藤の高校、専門学校時代の友人たちの供述調書やLINEのやりとりが読み上げられた(#3からつづく)。

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初公判に出廷した須藤早貴被告=12日、和歌山地裁[イラスト・松元悠氏] ©時事通信

 続けて法廷では、専門学校時代の友人の供述調書も読み上げられた。複数の友人で作るグループLINEには、やはり野崎氏の死後、須藤からマスコミの取材を受けないよう、また、SNSに残る自分の写真を削除するよう依頼のメッセージがあったという。だが、この友人たちも「紀州のドン・ファン」怪死報道で、須藤が置かれている状況を知ることになる。

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「早貴が野崎さんと結婚したことは全く知りませんでした。早貴はイケメン好きで、以前付き合っていたホストもイケメンでしたし、野崎さんが恋愛対象にならないと思いました。友人の私からみても、野崎さんと結婚したのは、お金のためだったという理由以外、考えられません」(読み上げられた供述調書より)

 2018年6月2日夜。資産家の野崎氏と結婚していたことについて、この友人が「マジなの爆笑」「本当なの爆笑」と送信すると、須藤はこうメッセージを返信。

須藤早貴被告

〈全然財産もらうつもりだったよ。欲のせいで足元すくわれたけど〉

 それまで半信半疑だった友人は、須藤が連日報道されているドン・ファン事件の妻である現実をようやく受け止め「財産はどうなったのか」と尋ねた。須藤が答える。

〈財産はマジ桁外れだから。全部の財産を出すのに時間がかかる〉

 須藤は、心配する友人に対して、軽妙に状況を明かしていく。

〈今の私、時の人すぎてヤバい〉

須藤被告

〈事情聴取に13時間とか、覚醒剤検査、ウソ発見器とか、いろいろドラマ過ぎた〉

 その3日後にも、

〈遺産が入るまでに何年もかかるんだって。遺産が入るまで海外を飛び回る〉

 7月に入り、和歌山県警の捜査員が札幌入りすることが分かると、須藤は「和歌山県警、北海道上陸」と告げ、高校や専門学校時代の友人たちに口止め工作を行っている。