2018年5月24日の夜、「紀州のドン・ファン」こと和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助氏(享年77)が急性覚醒剤中毒で死亡した事件。殺人と覚醒剤取締法違反の罪に問われた55歳年下妻の須藤早貴被告(28)の裁判員裁判が、和歌山地裁で行われている。9月13日の第2回公判では、須藤の高校、専門学校時代の友人たちの供述調書やLINEのやりとりが読み上げられた。
北海道札幌市出身の須藤は、地元の小中高を出て、市内の美容専門学校を卒業すると、2016年に上京。2018年2月、その約2カ月前に知人を介して知り合った野崎氏と月100万円の小遣いをもらう条件で結婚した。地元の友人たちとは当時も交流が続いていたが、須藤は野崎氏との結婚を彼女たちにも明かしていなかった。
事件後の2018年5月30日夕方、須藤は、高校時代の友人たち4人で作るグループLINE「恋して昇天ナンマイダ」に、こんな趣旨のメッセージを送る。
〈あのさ、週刊誌の記者から声をかけられて早貴のことを聞かれても、何も答えないで。SNSで私が写っている写真も消してほしいんだよね〉
野崎氏が田辺市にある自宅2階の寝室で怪死して6日。その頃、第一発見者で疑惑の年下妻の素性を探ろうと、多数のメディアが札幌入りしていた。
「早貴は、週刊誌記者が彼女のことを知りたがっている理由として『ジャニーズのメンバーの家に遊びに行ったからかも』と話していました。私は、てっきり早貴が芸能人絡みのゴシップに巻き込まれたと思っていました」(読み上げられた友人の供述調書より)
実際、須藤は“ジャニヲタ”で、高校時代はKAT-TUNの亀梨和也の大ファンだった。事件後は“ドン・ファンマネー” で探偵を雇い、当時King & Princeのメンバーだった神宮寺勇太の住まいを割り出して、同じマンションに転居している。
記者に追われる理由を聞かされた友人たちは、
〈芸能人と関わりを持つってそういうことだから スキャンダル爆笑〉
とリアクションした。
ところが、好色家を自認し「紀州のドン・ファン」の自著もある野崎氏の怪死は、連日テレビでも大きく報道され始めた。友人たちは、小柄な老人の隣に写るモザイク処理された若妻が須藤であることを一目で見抜く。