和歌山地裁で始まった「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助氏(享年77)殺人事件の公判。9月12日の初公判では、殺人と覚醒剤取締法違反の罪に問われた55歳年下妻・須藤早貴被告(28)が、野崎氏と出会うまでの無軌道な生活にも焦点が当てられた。小誌の取材結果も交えながら、振り返っていきたい。

初公判に出廷した須藤早貴被告=12日、和歌山地裁[イラスト・松元悠氏] ©時事通信

 北海道札幌市で生まれた須藤は、地元の公立小中高を卒業。同級生らによれば、地味な印象だった須藤がガラリと印象を変えたのは、市内の美容専門学校に入学してからのことだったという。ブランド品で全身を固め、夜にサングラスをかけて闊歩する須藤の姿が目撃されるようになった。

 当時、キャバクラで働いていた須藤は、店で知り合った男性から計約3000万円を騙し取っている。ドンファン殺人裁判が始まる前、須藤はこの男性に対する詐欺罪に問われ、懲役3年6カ月の実刑判決を受けた。

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高校時代の須藤容疑者(同級生提供)

 美容専門学校を卒業した須藤は2016年に上京。札幌時代から開設していた早貴のInstagramには、高級フレンチなどの食事、ライトアップされたナイトプール、ドバイをはじめ、海外旅行先の写真など、華やかな生活が次々とアップされていく。

 初公判では、当時の“収入源”の実態が、こう明かされている。

「被告人は遅くとも平成28年(2016年)11月頃から、複数の高級デートクラブに登録し、活動していた。また、同年12月頃から、無店舗型性風俗特殊営業店派遣型、いわゆるデリバリーヘルスで接客していた」(検察の読み上げ内容)