一時は首相“当確”と目された進次郎氏だが、露出が増すにつれ大失速。石破茂氏だけでなく高市早苗氏にも抜かれてしまった。陣営内の主導権争いに、政策よりルックス重視の広報戦略。進次郎氏の大いなる誤算をすべて書く。
「安心のおいしさだよね」
9月14日昼、選対本部を構える東京・平河町のシェアオフィスでそう呟き、青いエプロン姿でカレーを皿によそっていたのは小泉進次郎元環境相(43)。
地元の名産品「よこすか海軍カレー」をスタッフに振る舞うのだった。
リラックスする進次郎氏をアピールする狙いだったのだろう。この日の模様は公開され、多数のメディアが詰めかけた。和やかなムードに水を差したのは、広報担当者が代表撮影のカメラマンに発した一言だった。
「エプロンを外したシーンは髪の毛が乱れていたので使用NGです」
その場にいた記者たちは口々にこう囁きあった。
「芸能人気取りかよ……」(進次郎氏の広報担当者に、写真の使用制限を要請した理由を尋ねると「ご指摘の事実は把握できなかった」と回答)
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総裁選の幕開けから1週間が経った。本命視されてきた進次郎氏の“失速”が早くも露わになってきた。
「日本テレビが9月12日に自民党員・党友を対象に行った電話調査では、石破茂元幹事長(67)が25%、次いで高市早苗経済安保相(63)が22%。告示前は2位の進次郎氏は19%で3位となり、高市氏に逆転された。読売新聞や共同通信の情勢調査でも高市、石破両氏の後塵を拝した。進次郎陣営としては“大誤算”に違いありません」(政治部記者)
原因は、中身の乏しい政策と、弁舌の不安定さを早速露呈してしまったこと。
「私たちから見ても、わかりにくいし、付け焼き刃で言っているように聞こえる」
進次郎氏を支持する自民党中堅議員でさえ、こう苦言を呈するのが看板政策の1つ「解雇規制の見直し」だ。進次郎氏は出馬会見で、「人員整理が認められにくい現状を変える」と威勢よく語った。
だが、企業の安易なクビ切りを助長すると批判が高まると一転、「解雇をしやすい制度を作るというのは全く違う」と軌道修正した。
物議を醸す公約はこれだけではない。<つづく>