工場の社長が突如自殺して起きたある“異変”
すると、社長の死で労働者の賃金全体の行方が分からなくなってしまった。怒りが爆発した労働者たちは管理者たちの事務室を訪ねて「自分たちの賃金を全額支払え」と抗議し始め、今回のデモへとつながった。
戦勝貿易会社に勤務する2300人の北朝鮮労働者の多数は女性で、北朝鮮の保衛員によって5個のセクションに分けて管理されている。彼女らの工場での“生活”は悲惨そのものだ。北朝鮮労働者が生活する部屋には2段ベッドが4つあり、そこで寝泊まりをする。
午前5時に起床し、6時から作業を開始する。昼食時間は1時間あるが、作業は午後9時まで続くため、彼女らは1日15時間労働を課せられている。
さらに、生産量を増やすために残業を強いられており、長ければ一日に19時間労働を行う日もあるという。また、彼女らは就業中いかなるときも、ダッシュでの移動が課せられており、作業場で移動するときはもちろん、トイレに行くときでさえもダッシュを求められる。
「体罰」「食事抜き」...まるで“家畜”扱いの女性労働者たち
このほかにも、事故を起こしたり怠慢な仕事とみなされた場合には、体罰のほか、一日中ご飯も食べずに退勤する時まで同じ場所に留め置かれる制裁が待ち受けている。
この会社では生産を促すための手段として互いのセクションを常時競わせており、遅れを取る組には様々な不利益を与えるようにしているという。競争で最下位になった組は月1回の休日に休むことができず、工場の様々な雑用をしなければならない。
ある時は一日中、体罰を受けなければならない時もある。大多数が女性であるこれらの労働者は、会社側のこのような非人間的な行為にも反抗できずにいる。
こうした重労働のほか、新型コロナウイルス感染症が発生した初期には1セクションにつき3~5人の死者が発生し、深刻な状況だった。
北朝鮮労働者の悲惨な労働環境に、投獄された経験のある中国人は「囚人たちも午前8時に作業現場に到着し、遅くとも夜9時には自分の部屋にいなければならない。ところが、これら北朝鮮女性労働者たちは中国の囚人たちよりも劣る最悪の環境で獣のように仕事をしている。このような現象は中国国内にはないだろう」と驚愕する。
北朝鮮の女性労働者が、非人間的な待遇を受けていたことを裏付けるような現象も起きていた。