北朝鮮の女性労働者たちに起きていた「ある現象」
「中国に派遣された北朝鮮労働者の中には精神病患者が多いという。その理由は、中国に進出している北朝鮮企業の中で支配人たちが労働者を罵ったり、鞭打ちをしたりして、労働者たちが激しいストレスに苦しんでいるためだという」(別の丹東の消息筋)
こうした過酷な労働のあとに待っているのは、無慈悲に「ピンハネ」された給与の支払いだ。中国の会社が、現在この地域の北朝鮮労働者1人に支払う給与は日本円で約7万円だ。実際は中国の会社が北朝鮮の会社を介して支払う形をとっている。
約7万円の給与の中で、南平地区の使用料などとして2万8000円ほどが支払われる。さらに、北朝鮮(軍部)の会社が使用料と同額を徴収し、平壌本社に送金する。こうして、北朝鮮労働者が手にする給与は、たったの1万4000円ほどだ。
「ピンハネ」された給与のうち、生活費の名目で毎月約1000円を指定された日に支払う必要がある。残りの約1万3000円は副社長(保衛員)が事務所の金庫に、封筒に名札をつけて保管しており、労働者が帰国する数日前に全額支払う。
このようにする理由は、盗難などの事故防止のためという名分だが、徹底的に逃走(脱北)を防止するためだ。
一方、北朝鮮の会社の管理者らは日本円で平均約6万円の給料を受け取る。それに加えてパートナーである中国会社から平均約10万円の感謝金を受け取る。この感謝金は労働者を虐待してまで生産量を増やしてくれたことへの対価だ。これら北朝鮮の管理者が受け取る月給と感謝金など16万~20万円のお金は労働者とは異なり、全額彼らのポケットに入る。
こうした奴隷的な労働環境と、時には給与が未払いになる状況に、北朝鮮の女性労働者たちの不満が爆発し、1月のデモに発展した。今年1月の抗議デモ以後、労働者たちの月給は少し上がったが、北朝鮮当局の強い報復措置で、以前より長い時間、労働に従事させられているという。