風俗店で多くの男たちと逢瀬を重ね、誰が父親かわからない子供を身ごもってしまった34歳女性。その後、激しい陣痛に襲われ、自宅のトイレで出産してしまう。さらに動揺した彼女は生まれたばかりの男児をトイレの水で…。

 死体遺棄容疑で逮捕された女性のその後を、ノンフィクションライターの諸岡宏樹氏の著書『実録 女の性犯罪事件簿』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。なお本書の登場人物はすべて仮名であり、情報は初出誌掲載当時のものである。(全2回の2回目/最初から読む)

写真はイメージ ©getty

◆◆◆

ADVERTISEMENT

恋人が「水が流れていかない」と大騒ぎ

「これで安心だわ」

 悦子は何食わぬ顔で眠りについたが、翌日、遠藤が「水が流れていかない」と騒ぎ出した。

 吸引器で配水管の奥をかき出そうとしても、まったく埒が明かない。遠藤が「業者を呼ぼう」と言うと、悦子はうろたえた。

「昨日、生理用品を流しちゃったのよ。恥ずかしいから呼ばないで」
「何言ってんだよ。このままじゃ困るだろ」
「公園のトイレとか行けばいいじゃん」
「バカなことを言うな」

 遠藤はかまうことなく業者を呼び、やってきた業者が配水管を調べ、詰まっていたのが赤ん坊であることを確認したのである。

「どういうことなんだ!」
「……」
「オレの子供なのか?」
「分からない…」