家族は「自分の人生なんだから」と

「私が今、こういう状況でも、家族は『自分の人生なんだから、斎藤元彦自身が判断して対応すればいい』と言ってくれています」 

 神妙な面持ちでこう語ったのは、斎藤元彦前兵庫県知事だ。

 元西播磨県民局長が書いた告発文書をめぐる問題を受け、9月19日に兵庫県議会では全会一致で不信任決議が可決。これを受け、斎藤氏は議会解散を選択せず、9月30日付での失職を選んだ。その直前、斎藤氏は70分にわたり、「文藝春秋」の取材に応じた。

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「文藝春秋」の取材に答える斎藤元彦前兵庫県知事 ©文藝春秋

「しんどい時はある」と胸の内を明かした

 元県民局長が「齋藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」と題したA4判の文書をマスコミ、県議会関係者に送付したのは3月12日のこと。文書には、知事のパワハラや、県内各地で贈答品を受領する“おねだり”体質、公職選挙法違反の疑い等について列挙されていた。

 事態が急転したのは7月7日。文書をめぐって前月から行われていた百条委員会に出席を予定していた元県民局長が、姫路市の生家で自死した。県政への風当たりが強まる中、同月末に片山安孝副知事は辞職。斎藤氏は、百条委にて文書の内容を一部認めたものの、片山氏や県議会など各方面からの再三にわたる辞職勧告を拒否し、会見でも続投の意欲を表明していた。

元県民局長が作成した「文書」

 マスコミや議会から批判されても動じぬ姿勢で、ネット上では「鋼のメンタル」とも評された斎藤氏。ネイビーのスーツに同色のネクタイを締めて現れた同氏は、「しんどい時はある」と小誌に苦しい胸の内を明かした。