ロックバンドのTHE ALFEEが、デビュー50周年を迎えた。半世紀にわたる音楽活動では数多くのトラブルにも遭遇してきた。今だからこそ語れる“時効の話”をメンバー3人が語り尽くす。

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ガロやチューリップの路線?

〈桜井が所属していたフォークグループ「コンフィデンス」に坂崎が加入。坂崎は明治学院大学を受験し、全員が同大学に進学。次いで高見沢がグループに加入。ハーモニーの腕を買われ1974年8月「Alfie(アルフィー)」としてデビュー。「アイドルフォークバンド」として売り出され、作家が書いた曲を歌ったが、ヒットに恵まれず試行錯誤を重ねる〉

 坂崎 デビューして、すぐ、「どうも何か違うなあ」と感じたね。

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 高見沢 もう疑問符だらけ。桜井なんてギター弾けないのに無理矢理持たされて。どうするのかと思ったら、案外、弾き真似が上手くて。元祖エア・ギターは桜井かも(笑)。

 桜井 あの頃から音楽業界の大人が信じられなかった(笑)。

 坂崎 大人たちはグループサウンズブームや、ガロ、チューリップが売れた路線に僕らを乗せようとしていた。1974年は何百組ものバンドがデビューさせられたらしい。

 高見沢 僕らはなかなか売れなくてね。坂崎がライブでものまねをやると曲よりウケたから、いっそそっちの方向も試してみるか?と。そうしたら3億円事件をモチーフにしたパロディーソング「府中捕物控」が用意されて。

高見沢俊彦 ©文藝春秋

 坂崎 発売日は事件が時効を迎える1975年12月10日。結構ラジオでもかかって、これはヒットするかも、という空気だったのに……。

 高見沢 当時のビクターの社長の「社の良識に合わない」という鶴の一声で発売中止になったみたい。

 桜井 ショックだったね。「もっと早く言ってくれよ」って。

 高見沢 ビクターが家電を扱っていたことも影響したらしいけど、当時の僕らにとっては勝手な大人の事情。悔しかったけど、「オリジナル曲がない俺たちが悪い」と痛感して、それから猛烈に曲を作りはじめた。

 坂崎 普通はデビュー前にやることに、2年経ってようやく目覚めた。

 桜井 結局レコード会社を移籍して、1979年に再デビュー。あの発売中止がなかったら、確実に今のALFEEはなかったね。

桜井賢 ©文藝春秋

桜井賢「角刈り」事件

 坂崎 それでもヒットに恵まれず、各々個性を模索していた。そのなかでも桜井の角刈り事件は、古くからのファンの間で語り草の一つ。

 桜井 いつも思うんだけど、これって「事件」なのか?(笑) 高見沢と俺が部屋で飲んでいたとき、雑誌に載っていた『西部警察』の渡哲也さんの写真を見て、高見沢が力説したの。「俺たちには個性が足らない。お前が打ち破れ。今後の俺たちのためだ!」。それで次の日、その雑誌を持って原宿の床屋に行って。

 高見沢 原宿の床屋だから、角刈りなんてやったことなくてね。