「お前の肌の色は黒いから汚いんだ」「ばい菌だ」と攻撃されて
副島 はじめは理由がわからなかったんですよ。それまでお調子者で誰とでもすぐ仲良くできてたから、転校先の浦安の学校でも同じ調子でガンガン皆に話しかけて仲良くしようとしたら、全部シカトされて。
――なにかきっかけがあったわけじゃなく。
副島 だから、正直それが一番つらくって。相手を怒らせるようなことをしたなら謝ったり改善のしようもあると思うんですけど、のっけから無視だったんで。
それで、もう原因がわからないから一人でいようと思った矢先に、「お前の肌の色は黒いから汚いんだ」「ばい菌だ」とかって攻撃が始まって。僕の髪は天然パーマなんですけど、「お前のその髪の毛のクルクルには汚れがたまってる」とかって言われたり。
そうして見た目に対して言われたことではじめて、「あ、それがハブられた原因だったんだ」と気付いたんです。
――「見た目の違う転校生」という目立つ存在であったことがいじめの原因だったと。
自分の殻に閉じこもり逃げ回っていた
副島 引っ越した地域は新興住宅街で、同級生たちは同じ地区で育ち、保育園からずっと一緒に過ごしてきた仲間なんですよね。で、そういう子どもたちで構成された30人未満のクラスが2クラスしかなかった。僕は見た目も育ちも違うから、少ない生徒数の中で余計に目立ってたと思います。
その中にいじめてくるグループがあったんですけど、それ以外の子たちも自分が標的になるのは嫌でしょうから、巻き込まれないために静観していた、という感じで。そのうち、サッカーゴールの前に立たされてボールの的にされたり、教科書や靴を隠されたりしていじめがエスカレートしていって。
――いじめに対してなにか行動をされたのでしょうか。
副島 何もできなかったですね。僕と同じ肌の色を持つ父親のことも知らなかったし、ずっと日本で育って日本語しか喋れない自分がまさか周りと違うなんて思ってもなかったので、いじめっ子の言葉をそのまま受け止めてしまって。
「この肌は汚い色なんだ」とか、髪の毛をずっと引っ張って「ストレートになれ」ってやったりして、自分で自分を追い詰めてしまった。だから、相手に対しては、防御も攻撃も、何も対処できなかったんです。それに、泣いたり抵抗したりすると余計面白がっていじめがエスカレートすることもわかったので、ひたすら身を隠して目立たないように、自分の殻に閉じこもって逃げ回っていました。