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いじめを笑い飛ばし「何もせず目立つのはすごいこと」と言った母

――ご家族に相談したことは?

副島 「なんで勝手に俺のこと産んだんだよ」とか、「本当のお父さんはどこにいるんだよ」とかって、母親にめちゃくちゃ当たったこともあります。いじめているやつらと肌の色が一緒の母親のことを、当時は敵として捉えてしまってました。

 かなり母に暴力的な言葉をぶつけて、学校で起きていることも全部話して、これでさすがに学校は休めるだろうと思ったけど、「それ、めっちゃ目立ってるってことじゃん」と笑い飛ばされたんですね。

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――お母さんの反応は意外なものだったんですね。

副島 「みんな頑張って目立とうとして勉強したりスポーツしたりして頑張るのに、何もしてないのに目立つのはすごいことだよ」みたいなことを言われて。「みんなお前のことをほっとけないってことだから、お前ってスペシャルなんだよ」と。で、「今は自分のことを大嫌いかもしれないけど、いつか絶対、この姿かたちで産まれてよかったと思える時が来るから、学校へは絶対行け」と、引きこもらせてもらえなかったんです。

――副島さんは納得できた?

副島 正直、当時は「こいつ何言ってんだ」「話通じねえ」と思いましたよ。ある意味、荒療治というか。

 その後、いじめっ子が家のアパートにまで来てエアガンを撃ちこんできたんです。それで、自分が安心できる居場所はもうどこにもないから自殺するしかないと、マンションの最上階まで登りました。でも、下を覗き込んだら怖くなって、逃げ帰りました。

僕の性格を一番わかっていた母

――今、当時のお母さんの言葉をどう受け止めている?

副島 親子の関係性はそれぞれあると思うので一概には言えないですけど、母の当時の接し方が正解だとは思わない……というか、なんなら限りなく不正解に近いとすら思ってて。

 

 ただ、その一方で、僕の性格を一番わかっている母親だからああいう風に言ったとも思うんです。自分はもともとおちょけ、お調子者なんですけど、たまたま引っ越し先で歯車が狂っていじめに遭ってしまった。だから、何かちょっとしたことでも一個カチッとハマれば、本来の明るさを取り戻せることをわかってたんじゃないかなと。案の定、その後にバスケットと出会ったことで、自分はどんどん元気になっていったので。

――バスケットをはじめてから、いじめてきた相手との関係性にも変化があった?

副島 「エッ、そんなことある?」ってよく言われるんですけど、今は普通に飲み友だちなんですよ。