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鉄板支持者は男性×30代以上×白人主義者

 トランプが選挙に弱い、と言えば、意外に思う人もいるに違いない。トランプの支援者集会に入るため、夜を徹して場外で入場を待つ支持者の映像を見たことがある人もいるだろう。徹夜してでも支援者集会に入りたいという支持者を持つのは、アメリカでもトランプだけだ。

 負けた20年の選挙結果を“不正だ”と言い募ったトランプの言葉に乗せられ、選挙結果を覆すため、銃やライフルを持って連邦議事堂を襲撃したトランプ信者のニュースを見たことがある人もいるはずだ。

 たしかに、何があってもトランプに投票するという鉄板支持者は存在する。けれども、この鉄板支持者があだとなり、トランプはいつも選挙で苦戦を強いられる。先の自民党の総裁選でたとえるなら、好悪が大きく分かれる高市早苗という立ち位置に近い。

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 トランプの鉄板支持者は、投票に行く人の3割前後を占めると言われる。たしかに大きな影響力を持つ数字だ。しかし、3割前後という数字にしてしまうと、だれがトランプに投票しているのかという顔が見えてこない。

ミシガン州でボランティアとして戸別訪問する筆者  2020年6月9日

 私は20年の大統領選挙のためにアメリカのミシガン州に居を構え、トランプ陣営のボランティアとして1000軒以上の戸別訪問をこなした。それと並行して、トランプの支援者集会に参加して、トランプの投票する人たちの話に耳を傾けてきた。

 ボランティアと取材をはじめてすぐに分かったのは、人種による支持政党の片寄りである。

 共和党、特にトランプが大統領となって以降の共和党は、白人による、白人のための、白人の党という色合いを濃くしていった。トランプの支援者集会に行くと、その9割前後が白人で、そのうちの6、7割を男性が占める。白人男性が、トランプ陣営の太客(ふときゃく)なのだ。

 信者たちを最大公約数に沿って描き出すと、30代以上の白人男性で、最終学歴は高校か短期大学卒業が多い。宗教ではプロテスタントが多く、文化や性の多様性には反対の立場をとる。さらに、銃規制や人工妊娠中絶にも反対する。