トランプの忠犬とみなされた当時司法長官のビル・バーでさえ選挙後に、司法省とFBI(連邦捜査局)が合同で調査したが、「今日に至るまで、大統領選挙の結果を覆すような大規模な不正は見つかっていない」と語っている。
しかし、その後も、トランプ陣営は、選挙結果に不正があったと主張し60件以上もの裁判を起こすが、全敗と呼んでいい惨憺たる結果に終わっている。
中国共産党が負けを仕組んだ…と主張するトランプ信者
しかし、それでもトランプの勝利を信じるのがトランプ信者なのだ。ミシガン州の州議事堂に集まってきた人たちの声を拾おう。
最初に声を掛けたのは、ライフル銃を抱えたニック・ラッセル(35=いずれも当時)だ。ミシガン州では、銃を所有するだけでなく、公然と持ち歩くことも州法で認められている。
選挙の結果をどう受け止めるのかと訊けば、「本当はトランプがミシガン州の選挙で勝利したんだ。けれども、CCPがそれを阻止したんだ」(実際、ミシガン州で勝利したのはジョー・バイデン)。
――CCPとは何なのか?
「中国共産党(Chinese Communist Party)のことだよ」
――はぁ……。
「開票日の夜、突然現れたバイデン票は、中国共産党が急いで印刷したものだ。習近平とジョー・バイデンが手を組んでトランプが負けるように仕組んだんだよ。バイデンの息子が、中国系企業の取締役を務めていて、南シナ海の島を中国共産党に売り渡すのに一役買っているんだよ。そのお返しとして、中国共産党がバイデンを勝たせたわけさ」
いろいろな疑問符が頭に浮かぶが、1つだけ訊いてみた。中国共産党はどこで投票用紙を印刷したのか、と。中国国内で印刷したのでは、開票日に間に合わない。
「アメリカ国内にも中国共産党の息のかかった印刷所がたくさんあるんだから、そんなのなんの問題もないさ」
――えぇ……。
即座には判断できない内容も多かったので、連絡先を教えてほしい、とお願いした。
「ダメだ。オレたちのやり取りは、中国共産党に筒抜けになるから。こちらからあんたの名刺のメールアドレス宛に、情報源のリンクを送るよ」