大山のぶ代さんが9月29日、老衰のため90歳で亡くなったことがわかった。生前は、おしどり夫婦として知られた、大山さんとパートナーの砂川啓介さん(2017年逝去)。2人はどんな人生を送ったのか?
砂川さんの浮気が明らかになった際のエピソードを、砂川さんの著書『娘になった妻、のぶ代へ』(双葉社)より、一部抜粋して紹介します。
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娘が亡くなって以来、寝室は別々に
おしどり夫婦――。
僕たちは長いこと、そう呼ばれてきた。
確かに僕たち夫婦は仲が良い。そりゃ、他愛もないことで口論になることもあったし、世間一般の夫婦がそうであるように、些細なケンカから“離婚危機”に発展したこともあった。カミさんが、母親から受け継いだという漬物の樽を抱えて、家出したこともあったっけ……。
でも、二人ともネチネチ引きずらない性格ということもあって、すぐに仲直りもできた。だから、真剣に離婚を考えたことは一度もない。
二人の共著で料理本も出版しているし、夫婦でのテレビ出演や講演の依頼も数えきれないほど受けてきたので、世間が「おしどり夫婦」のイメージを抱くのも当然かもしれない。
だが、「正真正銘のおしどり夫婦か」と問われると……頷ける自信はない。
実は、僕たちは娘の絵梨加を亡くして以来、今日に至るまでずっと、寝室を別々にしている。そう、いわゆる“夫婦生活”がまったく存在しなかったということだ。