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長与からの言葉「唐田さんは長与千種でした」

 剛力は、唐田のすごさは「目」にあるという。「彼女の目の輝きは芝居をこえています。相手選手を睨んでいる視線や、『立ち上がれよ』と言うシーンの目は鳥肌が立ちます」(Lmaga.jp 2024年10月5日)。プロレススーパーバイザーを務めた長与千種も「目で語るっていうのはプロレスラーにとって最大の武器」(WEBザ・テレビジョン 2024年9月26日)とした上で、唐田に「目がとてもいい。目で十分に語れる人」と賛辞を送っている(マイナビニュース 2024年10月6日)。

 途中からは唐田が若い頃の自分にしか見えなかったという長与は、このような言葉を送った。「唐田さんは長与千種でした」(シネマトゥデイ 2024年10月6日)。長与千種を演じたいと思い、血まみれになり、丸刈りになりながらも、長与千種になりきった唐田は、長与の現役時代を知るプロレスファンからも絶賛を受けている。

(左から)唐田えりか、長与千種、現役女子プロレスラーの彩羽匠。長与と彩羽は本作でプロレス指導を行った(唐田えりかのインスタグラムより)

マザー牧場でスカウトされて芸能界入り

 1997年、千葉県君津市出身。17歳のとき、アルバイトをしていたマザー牧場でスカウトされたのがデビューのきっかけだった。そのまま事務所に所属し、翌年にはドラマ初出演。オーディションを勝ち抜いて大手損保会社のCMに抜擢されて一気に知名度が上がった。

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 当時の売りは事務所の先輩である有村架純も絶賛した「透明感」。もともとモデルに憧れていたが、やがて女優を志すようになる。18歳のとき、永野芽郁主演の深夜ドラマ『こえ恋』にメインキャストの一人として出演、事務所社長と二人三脚で演技の猛特訓を重ねて撮影に臨んだ。しかし、すぐに壁にぶち当たってしまう。

2015年、当時芸能界入りしたばかりの唐田えりかと、事務所の先輩である有村架純(有村架純スタッフのXより)

 オーディションでは連戦連敗。落ちるたびに自分を否定された気になり、自分には芝居などできないと完全に自信を失っていた。つらくて仕方がなく、毎日泣き暮らしていたという。唐田は、この頃のことを「暗黒時代」と表現していたが、さらに大きな暗黒期がこの後やってくるとは知る由もない。

「この仕事を辞めたい」と事務所や家族に伝えた直後、唐田はあるオーディションを受けることになる(anan NEWS 2018年12月9日)。それが映画『寝ても覚めても』だった。