Netflixで配信中の『極悪女王』の演技が話題となっている唐田えりか(27)。17歳でスカウトされ芸能界に入るも、オーディションの落選が続き仕事を辞めることも考えていたという。そんな中、世界的にも高く評価された1本の作品が、彼女の運命を大きく変えることとなる。

 俳優として一躍浴びた脚光、不倫騒動による休業期間中の日々と復帰、『極悪女王』を経て得たものとは。(全2回の1回目/#1より続く)

Netflix『極悪女王』でプロレスラー・長与千種を演じた唐田えりか(唐田えりかのインスタグラムより)

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 2018年に公開された『寝ても覚めても』は、いろいろな意味で唐田のターニングポイントになった作品だ。運命を変えた映画と言ってもいいかもしれない。

2018年、カンヌ国際映画祭での唐田えりか ©時事通信社

 柴崎友香氏の同名小説を濱口竜介監督が映画化した本作は、第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品された。同じ顔をしているが、まったくタイプの違う2人の男性、麦と亮平の間で揺れ動く女性、朝子の姿を描く。東出昌大が麦と亮平の2役を演じ、朝子役はオーディションで唐田が射止めた。

 唐田は自分が受けたオーディションが、どんな作品かも知らなかったというが、濱口監督は「オーディションで“彼女しかいない”って思った」と振り返っている(ぴあ映画 2018年9月5日)。

2018年に公開された映画『寝ても覚めても』

「朝子がものすごく自分自身だと思えた」

 黒髪、色白、黒目がちな瞳、かすかに開いた唇。朝子は清楚を絵に描いたような女性だが、透明感よりも存在感が勝る。儚げなようでいて視線が強い。唐田を正面から捉えたショットが多いのも印象的だ。

 浮世離れした恋人の麦が自分の前から突然消えて、その後出会ったサラリーマンの亮平と結婚の約束をするが、再び現れた麦についていって姿を消してしまう。自分の気持ちに正直で、モラルや規範を飛び越えた選択をする女性、それが朝子だ。

 公開時、朝子の人物像は観客の不興を買うことも少なくなかった。「神経を逆なでする草食世代のファムファタール」とも評されたが、唐田は「朝子がものすごく自分自身だと思えたんです。朝子の行動に対して、一つも疑問を感じませんでした」と話す(リアルサウンド映画部 2018年9月1日)。

 本格的映画デビューの本作で、唐田は大きなインパクトを残した。