1ページ目から読む
2/3ページ目

自分から「忘れることはないよ」ということも…

  事件からは3年間という時間が経過しサトルくんは小学6年生になったが、事件の記憶は全く風化していない。

「たまに自分から『忘れることはないよ』と言うので心配になりますが、忘れられる出来事ではありませんからね。インターフォンを押してどういう流れで外に行って何をされ……という事件当日の様子もたまに思い出すようです。ただ、聞かれない限りは自分から話したくないとも言っています」

  いま、サトルくんはAのことをどう思っているのだろうか。

ADVERTISEMENT

「『会わないならもうどうでもいいよ』って言っています。とにかく存在を感じたくない、考えたくないというのが強そうですが、『やり返されたらどうしよう』という恐怖は残っているようです。警察が出てくるドキュメンタリー番組などを見て『恨まれて、家を燃やされたらどうしょう』『刺されたらどうしよう』とぼそっと言うんですよね」

  事件そのものの記憶に加えて加害男子への恐怖感という新たな課題も発生し、サトルくん親子は今でも日常的にその対処に迫られているのだ。

サトルくんが被害を受けた、家の近くの公園

「不安が大きくなった時は保護観察所で相談したりするようにしています。ただ、夜眠れない日は今でも頻繁にあります。事件からは3年経ちましたが、私たち家族にとってはそれが当たり前の生活になってしまいました。布団に入ってから入眠するまでは1~2時間かかり、その間も夜の静かな空気を怖がるんです。音がないと怖がるので、Alexaで音楽を流したりしています。一度眠れても、夜中に突然叫びだしたり、悪夢でうなされていることも週に数回あります。怖い男性に追いかけ回されて刺される夢を見る、と言っていました」