北海道札幌市の小学3年生のサトルくん(仮名・当時8歳)が、近所の小さな公園内で中学1年(当時)の男子生徒Aから繰り返しわいせつな行為を受けていた事件。

  調査にあたっていた札幌市の教育委員会が10月8日に記者会見し、いじめ防止対策推進法の「いじめ重大事態」とした上で、再発防止策を提言した。

  しかしサトルくんの母親によると、サトルくんは「忘れることはないよ」と今でも事件の記憶に苦しめられているという。

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被害を語るサトルくんの母親

ズボンを脱がされ「お尻の穴にチンチン入れさせて」

  サトルくんは2021年の春ごろ、同じスポーツ少年団に所属していた4学年上のAと仲良くなり、一緒に遊ぶことが増えていた。しかしAはその信頼を裏切るように、家の前にある公園でサトルくんに対して性加害行為に及んだ。性器の見せ合いや、Aの性器をさわらせるなどの行為が続いていた。

  最大の被害は、5月28日。サトルくんはAに「キャッチボールをしよう」と誘われて公園へ行くと、女子トイレに連れこまれた。そこでサトルくんはズボンを脱がされ、Aは「お尻の穴にチンチン入れさせて」と性器を挿入しようとしたという。

サトルくんが被害を受けた公園のトイレ

  公表された報告書では調査委員会が独自に調査していない。学校側の対応はサトルくんが通っていた小学校の元教頭が担当していたが、異動で学校を去る際に後任の教師には引継ぎがなされなかったことが書かれている。

「報告書は、加害生徒Aがなぜそんなことをしたのかという動機や背景が書かれていません。これでは再発防止ができないのではないでしょうか。警察の捜査資料を私たちから渡しているのに『把握していない』というのです。教育委員会や先生たちは、法律や子どもの命を守る気がないように見えました」(サトルくんの母親、以下、同じ)

  被害にあったサトルくん本人も、報告書の公表を心待ちにしていたという。

「調査の結果が公表されたという新聞記事はサトルも気になったようでじっくり読んでいました。これまでは学校などでも事件について黙っていなければいけないのが辛かったようで、調査結果が公表されるのを望んでいたんです。学校での説明会も今は交渉中ですが、本人は『説明しないのとか本当にあり得ない』と怒っています。『ニュースになっているのに、学校では説明しないならまた被害を受けるかもしれない』と怖がっているんです」