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興味がわいて機会を得て、「読む会」を見学させてもらって、「ああ……」となった。和室の会議室に集まったメンバーはロの字に並べた長机のそれぞれの席でおちゃんこ(正座)したり、あぐらをかいたり、あるいは肘枕で横になったりしながら課題本から目を上げては近況を報告し合い、また本に目を戻すというのを繰り返していたのだが、会長さんの発声でスタートすると、一斉に引き締まった顔つきになった。
順番通りに課題本を音読し、一人ずつ感想を述べていく、という段取りである。感想は、朗読については褒めがほとんどで、本については各自の思い出話が中心だった。ときにクロストークとなり、大いに盛り上がる。
母だけでなく、みんなの目がキラキラと輝いているのはもちろん、表情そのものがぴかぴかと明るかった。
わたしの心に、ああこれは紛れもなく「生きがい」だと伝わってきた。この人たちは、一生の宝物を見つけたんだ。
それをもっと知りたくて『よむよむかたる』という小説を書いた。このたび出版の運びとなり、とっても嬉しい。