ネットフリックス、アマゾンプライム、ディズニープラス……。“配信戦国時代”における韓国作品の隆盛を、アマゾンプライムビデオで日本オリジナルコンテンツ製作責任者を務めた早川敬之氏が語った。
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韓国発の作品に巨額のお金が流れ込んでいる
今後、どのように映像コンテンツの覇権は移り変わっていくのでしょうか。大きなヒントになるのはネットフリックスだと私は思っています。ピュアプレイヤーゆえの不安定さはあるものの、制作における創意工夫では、他のプレイヤーよりも一歩先んじているからです。
象徴的なのは日本でもよく楽しまれているネットフリックス発の韓国ドラマです。これまでネットフリックスは『イカゲーム』だけでなく、『愛の不時着』『梨泰院クラス』などのヒットドラマを配信してきました。今年でいえば『涙の女王』が新たなヒット作ですが、世界で韓国ドラマが楽しまれるトレンドは、ネットフリックスが火付け役でした。
韓国政府の援助もありますが、今や世界全体の動画コンテンツの言語比率でも韓国語作品は3%を占めるようになり、英語(約50%)、フランス語(9%)、スペイン語(5%)に次いで多いのです。翻って日本語は1%にも満たない。今は韓国発の作品に巨額のお金が流れ込んでいる。ネットフリックスも以前から日本よりも韓国に投資しています。
悔しいですが、現時点では韓国のエンターテインメント業界の方が日本より先に進んでいます。では一体、韓国の何が日本と違うのか? 一言でいえば、韓国では「資本の論理で動く下部構造と、それを駆動するものづくりの工夫がいち早く実装されたこと」が大きな違いです。