不動産取引をめぐる21億円の横領事件で、罪に問われた男性がその後の裁判で無罪となった冤罪事件。

問題が指摘されている、大阪地検特捜部の取り調べの録音録画について、最高裁判所が大阪高等裁判所が認めた範囲より拡大して、民事裁判に提出すべきという内容の決定を出した。

特捜部の取調べ映像の提出範囲をめぐって、最高裁判所が判断を示すのは今回が初めて。

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■「長時間の威圧的な態度や言葉による取り調べ」明らかに 山岸さんは無罪

2021年8月大阪地裁が無罪判決言い渡す

「プレサンスコーポレーション」の元社長・山岸忍さんは、土地取引をめぐり部下らと共謀して21億円を横領したとして大阪地検特捜部に逮捕・起訴された。

特捜部は山岸さんについて、元部下らの供述をもとに、有罪を立証しようとしたが、裁判の中で、長時間の威圧的な態度や言葉による取り調べが明らかになり、山岸さんの関与を示す供述は「信用できない」として無罪となっていた。

■国に損害賠償求めた裁判で取り調べの「録音録画」提出求める

 

山岸さん側は「違法な取り調べで冤罪が作られた」と国に損害賠償を求めて裁判を起こし、取り調べの録音・録画を提出するよう求め、大阪地裁は去年9月、「4日間・およそ18時間分の提出を命じた。

これに対し国側は、取り消しを求めて即時抗告し、ことし1月大阪高裁は、「1日・48分間分」のみと、大幅に範囲を限定して提出するよう命じる決定を出し、ことし6月の裁判では、法廷でその録画録音の内容が流されていた。

■山岸さん元部下の取り調べで「評判を貶めた大罪人」と検事

実際の取り調べ映像

<流された内容>

山岸さんの元部下の取り調べを担当 田渕検事:なんで、そんなことしたの。それ何か理由があります?それはもう自分の手柄が欲しいあまりですか。そうだとしたらあなたは、プレサンスの評判を貶めた大罪人ですよ

田渕検事:これ例えば会社から今回の風評被害とか受けて、会社が非常な営業損害を受けたとか、株価が下がったとかいうことを受けたとしたら、あなたはその損害を賠償できます?10億、20億じゃすまないですよね。それを背負う覚悟で今、話をしていますか