書きたかったのは、「結婚を申し込まれて躊躇する」ところ
――ひまりが司法試験を選んだのは、幼馴染で検察官の額田レオが勧めたからです。やがてレオはひまりに惹かれますが、彼女の障害は彼にとって障壁にならない。そこの葛藤を書かなかったのはなぜですか。
新川 キャラが葛藤していないからだと思います。ひまりが事故に遭って体が動かなくならなかったら、レオは彼女のすごさに気づくことはなかった。障害はマイナスというより、2人の出会い直しのきっかけなんです。
むしろ書きたかったのは、逆に結婚を申し込まれたひまりが躊躇するところ。今自分は自立しようとしてるのに、結婚したら甘やかされて踏ん張りがきかなくなるかもしれないという怯えがある。だから自立してから結婚したいと言うんです。結婚は安心できる装置でもあるけど、もうちょっと自分で頑張りたいという時期もあるかもなというところを書きたかったんです。
――ではご自身の結婚に関してはどうお考えですか。
宮島 私は結婚したい派でしたね。まず学校が嫌いだったんです。友達も少なくて、先生ともうまくいかない時期があった。母が専業主婦で家にいたから、すごくうらやましかったんです。
新川 ルートは違うけれど、私も似たところにたどり着いてるなと思います。私も母は専業主婦だったし学校嫌いだったけれど、専業主婦はずっと家にいなければいけないから嫌だなと思っていました。でも、実際社会に出て働いてみたら、まるで使いものにならなかった(笑)。結局なんだかんだで、家にいるのが一番好きだというのが現在です。
――夫さんたちに出会って、惹かれた部分はどこですか。
宮島 私は京都大学に進んだんですが、京大って結構人を見下す人が多くて、すごく嫌だったんです。夫はそれをしない人だった。優秀なのに偉ぶらない。ああこの人いいなみたいな感じで、おつき合いすることになって、そのまま結婚しました。
新川 旦那さんは宮島さんのどういったところに惹かれて?
宮島 それはね、明確に「面白いところ」と言っています(笑)。