〈寄付金 15,000,000 R3.10.15 森山裕〉
では、選挙の責任者である幹事長の森山氏は、これまで選挙直前に支給される交付金をどのように使ってきたのか。
2021年の前回衆院選(同年10月19日公示)を見てみよう。自由民主党本部の「政党交付金使途等報告書」によれば、森山氏が代表を務める「自由民主党鹿児島県第四選挙区支部」に、公示4日前の10月15日、1500万円の交付金が支払われている。一方、「自由民主党鹿児島県第四選挙区支部」の収支報告には、次のような数字が記されていた。
〈寄付金 15,000,000 R3.10.15 森山裕〉
交付金が振り込まれた同日に、同額の1500万円をそのまま自身への寄付金として支出しているのだ。
交付金と同額の計1500万円をまるごと選挙運動費に
さらに、「週刊文春」が入手した森山氏の「選挙運動費用収支報告書」の収入欄には、こう書かれている。
〈R3.10.6 5,000,000 寄付 自由民主党鹿児島県第四選挙区支部〉
〈R3.10.6 10,000,000 寄付 自由民主党鹿児島県第四選挙区支部〉
つまり、交付金1500万円の支給(10月15日)を見越し、その9日前の10月6日に自身の政党支部から、交付金と同額の計1500万円をまるごと自身の選挙運動費として支出している形だ。2021年、森山氏が選挙運動にかけた費用の総額は2349万円(うち公費負担257万円)。この1500万円は「支部活動の活発化」などではなく、全額が選挙運動費に充てられたことになる。
にもかかわらず、森山氏は、選挙直前に支給される交付金をあくまで「支部活動の活発化や、党勢拡大」のための費用と主張しているのだ。
「使えたかどうかちょっとよく調べてみないとわかりません」
果たして、森山氏はどのように説明するのか。10月25日午後、電話で話を聞いた。
──前回の衆院選では、森山さんも交付金の1500万円を即日、自分の選挙運動費として支出しているが。
「それは調べてみないとちょっとわかりませんが。ただ今回は、通達をきちっと出してますので、選挙には使えないようになっています」