今年2月、浅草でホテルやマンションを経営する資産家夫妻が次女に毒物を飲ませて殺害したとして逮捕された事件が新展開を見せた。
細谷健一(43)と妻の志保(38)の両容疑者は、2018年に健一の父である勇さん(当時73)にエンジンの不凍液に利用される「エチレングリコール」を飲ませ殺害したとして、10月25日に再逮捕された。
エチレングリコールは夫妻の次女・美輝ちゃんの殺害にも使われた薬物だ。夫妻の周辺では、親族が相次いで不審な死を迎えていた。
「週刊文春」はこれまで8度にわたり細谷夫妻に迫ってきた。健一、志保の破綻した生活の犠牲になった家族の様子を追った記事を再公開する。(初出:「文春オンライン」2024年2月16日公開/年齢・肩書きは当時のまま)
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2月14日、次女の美輝ちゃん(4)を殺害した疑いで、細谷健一容疑者(43)と志保容疑者(37)の夫婦が逮捕された事件。
「部屋はいまだにそのままです。ご一家の姿はもう2、3年はお見かけしていません。まさかこんなことになるとは……」
猫の鳴き声がぱったり止んだ
千葉県松戸市の簡素な集合住宅。住人について尋ねられた大家の女性が語る。ここはかつて志保が実母と暮らしていた“実家”といえる場所である。
「志保さんとお母さんの2人がうちのアパートに住み始めたのは十数年前。静かに暮らしてらしたけど、志保さんたちは猫を飼ってたの。夜中に猫がギャーギャー鳴いて近所迷惑になることもあった。
2人とも夜に仕事をしていたようで、夜中は猫の面倒がみられなかったみたい。近所の手前『困ります』と伝えたら、それからぱったり鳴き声は止んだけどね」(同前)
細谷夫婦が結婚したのは2009年11月。志保は実家を出て浅草に嫁いでいき、母親はこのアパートで生活し続けていたが、その後世を去っている。住む者のなくなったこの部屋は、しかし今も細谷夫婦が賃貸契約を結んでいる。