衆院選の結果が出た。
『自公大敗 過半数割れ』(産経新聞)
『裏金自民惨敗 与党過半数割れ』(東京新聞)

「裏金自民惨敗」は強烈だ。この結果を見ると選挙を仕掛けた側(与党)は失敗だったとも言える。

石破茂氏 ©時事通信社

そもそもなぜ今、選挙なのか?

 私は公示日から各地の選挙区を見て回ったが、現場に行くほど感じたことがあった。「そもそもなぜ今、選挙なのか?」である。

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 石破茂内閣は発足して戦後最速の8日後に解散をした。誰が総理になってもイメージが新鮮なうちに早く選挙をしてしまえという自民党の戦略だったと報じられている。だとすれば完全な自己都合だが、そうしたなか選挙戦が始まると気になることがあった。

 候補者の演説を聞いていると「能登半島で豪雨の被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます」などと言うのだが、すぐに地元の話や利益誘導実績の話になるのだ。能登は単なる枕詞なのか? 被災地では選挙どころではないという報道もあったのに。

 そう思い始めたら裏金候補の選挙を見るのも大事だが、能登へ行って現地の選挙を見なければいけないと思った。何がどう語られているのか。

能登の被災地に岸田元首相が

 私は3年前の衆院選からラッパーのダースレーダーと共に全国の選挙現場を見るようにしている。撮影した映像は2本のドキュメンタリー映画にもなった。今回も見たい選挙区はたくさんあったが急がれた選挙だったので日程のやりくりに苦労した。能登へ行くのは10月23日からの2日間となった。選挙戦もすでに終盤である。

 当日朝に金沢に着き、車で能登に出発。するとある情報に目がとまった。岸田文雄前首相が石川3区の自民党候補の応援演説に来るという。10時30分から能登食祭市場(七尾市)とある。自民党が早い選挙日程を想定して動き出したのは岸田氏の首相在任中だ。では岸田氏は今回の選挙の「意義」を被災地の石川3区の人たちの前でなんと言うのか?

石川県七尾市の演説会場は厳戒態勢だった。橙色のジャージの左隣には岸田氏が ©プチ鹿島

 会場の警備は厳戒態勢。荷物検査と金属探知機での検査を受けて入場した。すでに1階は満員だったので2階へ。1階のステージをのぞき込むのがやっとだったが、演説ははっきりと聞こえてきた。