池上彰さんの新連載「WEB 悪魔の辞典」では、政治や時事問題に関する用語を池上さん流の鋭い風刺を交えて解説します!
【セクハラ・せくはら】
思い上がった男が相手から食らわされる肘鉄。
【池上さんの解説】
「相手のことを憎からず思っているのだから、これくらいいいじゃないか」
こんな甘えがセクハラを引き起こす。あるいは、「俺さまは偉い立場なんだから、女ごときがウダウダ言うんじゃない」という思い上がりが騒動を引き起こす。
アメリカで、あれだけ「#MeToo」運動が盛り上がっているのだから、日本でも追及が始まるのは時間の問題。それくらいの予測がなぜつかなかったのか。
セクハラの被害に遭った女性たちの多くは、ずっと我慢をしてきた。そのことに思いを致さない男たちは、「女性たちが問題にしていないのだから、たいしたことはないだろう」と軽く考えていたのだろう。
「セクハラ罪という罪はない」と発言した麻生太郎財務大臣の発言は特筆に値する。そう、その通り。「セクハラ罪」という罪はない。あったら、事務次官は逮捕されていたかも知れない。ことは刑事事件になる。
刑事事件でなければいい、と言ってしまったら、世の中に道義的責任というものはなくなる。刑事事件は警察や検察の管轄だが、道義的責任あるいは政治的責任を問うのが政治家やメディアの責任だ。それくらいの常識すら通用しない日本の政治風土が悲しい。
池上彰「WEB悪魔の辞典」のコーナーでは、池上さんの解説を聞いてみたい新用語を募集しています!